物名一〇〇〇首 古今集仮名序
古今和歌集仮名序

 やまとうたは、人のこころをたねとして、よろづのことのはとぞなれりける、 世中にあ る人、ことわざしげきものなれば、 心におもふことを見るものきくものにつけていひい だせるなり、 花になくうぐひす、水にすむかはづのこゑをきけば、 いきとしいけるもの いづれかうたをよまざりける、 ちからをもいれずしてあめつちをうごかし、 めに見えぬ おに神をもあはれとおもはせ、 をとこをむなのなかをもやはらげ、 たけきもののふの心 をもなぐさむるは、うたなり
古今和歌集