メディナでイスラム教団の原点を形成したムハンマドは、630年にはメッカを逆に征服し、632年に死去するまでの間にアラビア半島全域の統一に成功した。ビザンツ帝国との抗争に明け暮れていたササン朝ペルシア側から見れば、彼らにとっての本拠地である首都クテシフォンを含むメソポタミア地方に対して、突如左側面からイスラム勢力の攻撃を受けることになったのである。一方ヨーロッパに目を移すと、ゲルマン民族の大移動が一段落しつつあったこの時代には、フランク王国・西ゴート王国などのゲルマン国家が西ヨーロッパに成立していた。