【運動によるけが・病気の予防】

(1)運動によるけがの実態
 スポーツにおけるけが(16〜20歳)には、骨折、捻挫(ねんざ)、靱帯損傷(じんたいそんしょう)などが多いです。
 また、種目別のけがの原因は、バスケットボールは「着地したとき」、サッカーでは「転倒」、ソフトボールでは「受け損なう」、 バドミントンでは「ひねり」、柔道では「投げられたとき」、剣道では「転倒」、ラグビーでは「タックルしたとき」の発生が一番多いです。
 また、場合によっては、心臓発作や熱中症が起こったり、運動のしすぎにより疲労骨折や貧血などが 起こったりすることがあるので注意が必要です。

(2)運動をおこなうときの注意
 スポーツのトレーニングや練習では、運動のやりかたが正しくないと、よい効果が得られないだけでなく、 ときにはけがをしたり、健康を損なうおそれもあります。運動を楽しく安全におこなうためには、次ぎのことに注意しよう。
@運動前のチェック
運動をはじめる前には、次ぎに示した内容を必ずチェックして、安全に注意することが大切です。
・健康状態の確認:体調がわるいと感じた場合や、先生や仲間からようすがおかしいといわれた場合は、運動への参加を中止します。
 状況によってはすみやかに医師の診断を受ける。
・服装の点検:天候、気温、湿度などにあった服装をする。おこなうスポーツにふさわしい服装をする。装身具をはずす。
・運動環境の整備点検:運動する場所、使用する施設、用具の状況などを確かめる。
Aウォーミングアップとクールダウン
軽そうに見える運動でも、日常生活のなかでの運動に比べると激しいものがあります。ジョギングやストレッチングなどの準備運動によって、 ウォーミングアップをおこなうことが必要です。ウォーミングアップによって、体の諸器官の働きが活発になり、運動に対する心身の準備が整い、 けがの防止や記録の向上に役立ちます。逆に、ウォーミングアップをしないと、関節や筋肉を傷めたり、心臓に急激な負担を与えたりすることになります。  また、練習後に、ストレッチングや軽い運動によってクールダウンをおこなうことは、蓄積された乳酸を早く除去することができ、 疲労の回復を早めます。
B水分の補給
運動をすると、体温を下げようとして汗をかくため、体内の水分が不足します。そうすると、運動の能力が低下するだけでなく、 集中力が低下してけがをまねいたり、熱中症になったりするなど、生命に危険がおよぶこともあります。とくに、気温や湿度の高い環境や、 長時間の運動では、注意することが必要です。  これらのことを防ぐためには、運動前や運動中に、水分を補給することが必要です。水分の補給は、 のどがかわいたと感じてから一度に多量にとるのではなく、運動前にあらかじめとり、運動中には数回に分けてとるようにするとよいでしょう。
Cオーバートレーニングの注意
オーバートレーニング(運動のやりすぎ)は、トレーニングの効果を妨げるだけでなく、疲労骨折や貧血などの原因になります。 運動の前後や運動中に、苦痛を感じたり、体に力が入らないようなときには、運動の強度を軽くするとか、休むようにします。 とくに、持久走のように呼吸・循環器系への負担が大きい運動では、十分な注意が必要です。オーバートレーニングにいたらなくても、 疲労の回復には十分に注意することがたいせつです。