実際に起こっている様々な自然現象や社会現象では、確率的に変動する事象は、その背後にそれを起こさせるメカニズムがあり、それによって偏りが生じることがあります。ただし、そのメカニズムは容易に分かるものばかりではなく、むしろ複雑過ぎて分からないものの方が圧倒的に多いのが実態です。
偏って起こる現象の中で、高校で学ぶ学習に関連した一例を観てみましょう。
次の例は、いかかでしょうか。
この例では、パチンコ玉がどこに落ちるかは「運ませ」ですが、釘の配置を正確に三角形状にして、「どの釘においても、玉は左右どちらにも1/2で振り分けられる」というように理想化することにより、背後に数学的原理が見えてきます。
その原理を考えてみましょう。
パチンコ玉は、各釘で左右に振り分けられ、箱に落ちるまで、ある経路を辿ります。
その経路を左=a、右=bとして記号化すると、
落ちる経路を記号で表現する。
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同じ箱に落ちる経路は複数ある。
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いままでのことをまとめると、
一様分布以外の分布に従う「デタラメ」さの例として、「二項分布」を観てきましたが、その他の分布として、
などがあります。
「確率分布」は数学的に理想化された分布ですが、実際の自然現象や社会現象では、さらに別の要因で厄介な振る舞いが加わることがあります。それを「ゆらぎ」といいます。
例えば、雨粒が落ちてくるとき、風に吹かれて揺らぎ、地面には「一様」な分布ではなく、さらに乱されて部分的に粗密ができることがあります。この「ゆらぎ」の現象も興味深いものです。
確率的に変動する変数には、その背後に「一様分布」だけではなく様々な分布が隠れていることが分かりましたね。どのような分布が隠れているかは、その「現象の起こる仕組みや原理」に依りますが、自然界や現実社会で起こる現象の仕組みや原理は複雑過ぎて、よく解っていないのことの方が多いのです。
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シミュレーションという方法は、「よく解らない仕組みや原理」を単純化したり仮定したりして、模擬実験を行います。その結果と現実の現象が上手く一致すれば、その単純化や仮定が成功したことになりますが、一致しないときは、単純化や仮定を変更して再度実験しなければなりません。
人類は長い歴史とともに、このような繰り返しによって、少しずつ仕組みや原理を解明してきました。しかし解っていないことの方が、まだまだ圧倒的に多いのです。