(研究目標)

 算数の学習では、興味・関心を持って学習した基礎的・基本的な内容を定着させることが大切であり、習熟度別指導を取り入れて一人一人の児童に応じた指導が展開されてきている。このような基礎的・基本的な内容の定着を目指す一方、発展的な学習を取り入れている学校が多くなり、発展的な学習で扱う内容として、理解の進んだ児童を考慮したより高度な内容や学習指導要領の改訂によって削除・軽減された内容が多くなっている。しかし、発展的な学習のための教材や支援の仕組みが十分に整備されているとはいえない。さらに、このように一人一人に応じた学習が展開されればされるほど、学校や家庭での児童の学習の様子をつかんで適切に支援を行う必要が生じることになる。
そこで,本研究では,基本的な学習と発展的な学習のためのWeb教材の充実,児童の実態の掌握と実態に即したWeb教材の提示方法の研究,教師のITを活用した指導力の向上につながる指導事例等の収集・公開を行い,一人一人の児童の実態に即した支援の在り方について究明する。

(研究内容)

 上記の研究目的を達成するために次のことを実施する。
・児童の実態に即した教材として基礎的・基本的な問題の充実を図るとともに、発展的な内容の問題を作成する。
・Web上には印刷して利用するドリル教材とe-Learningで利用する評価問題を準備し、学校や家庭から利用できるようにする。
・ドリル教材や評価問題の活用状況や児童の自己評価を履歴として蓄積し、支援に役立てるための適切な提供のしくみを提案する。
・研究に参加する実践校は10校程度とし、1,000人規模の実証実験を行い、意識調査や学習履歴から一人一人の実態をつかみ,適切な支援の方法について提案する。
・本研究には,岐阜大学総合情報メディアセンター,岐阜県教育委員会,県内の多くの小中学校の算数・数学の教師が参加しており,実践評価検討部会で実証実験の検討と指導事例の改善などを行う。
・これらのデジタルコンテンツを各学校の児童や教師が利用しやすいWebページを作成するとともに指導事例を含む実践の成果を公開する。
・Webページを利用した児童の学習状況に応じた適切な指示や問題等を提示する方法について検討し、提案する。

(研究成果物)

 算数のドリル問題のWebページを作成・公開する。問題は約600問(A4で約200枚)を予定している。
 これらのデジタルコンテンツを活用した実証実験を行い,実践評価検討部会にて検討を加えて授業実践事例の収集を行いWeb上に公開する。実践事例はNICERに登録する。
 研究の成果は,印刷物を配布およびWebページで公開し,教師のITを活用した指導力の向上につなげる。

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