1.研究の要約(1000字以内)
インターネット上には有益な情報がある一方、有害な情報もあるため、児童・生徒の犯罪被害等への影響が憂慮されている。そこで、本センターでは情報モラルに関わる教員研修を実施しているが、情報機器の発達とともにネットワーク利用犯罪等も増加の一途をたどるとともに犯罪の種類も多岐に渡るため、教員研修の中で毎年、新たな項目を追加している状況である。また、今年度より悉皆研修に情報モラルを中心にした講座(1日)を追加し、県内全ての教職員が有害情報等への対応ができ、各学校において日常的に児童・生徒に情報モラルに関する指導ができるように教員研修を行っている。しかし、新たに追加した悉皆研修を受講できるのは毎年県内の全教員の1%である。
そのため、本研究では、「小中高等学校一貫した体系的な情報モラル教育の在り方」について究明し、その成果をWeb上で公開して学校からの活用を図ると供に、教員研修に活かして教師の指導力の向上を図ることを目的とする。
県内の情報モラル教育の現状から考えると、県内の情報モラル教育に関する実態を詳しく調査し、その実態に基づいて教員研修を実施すると供に、県内の全ての学校で小・中・高等学校を通して、体系的・計画的に情報モラル教育を実施する必要がある。そして、学校では情報教育を通じてネット上の様々な情報の中から正しい情報を主体的に判断できる能力の育成や情報化の影の部分についての理解を深め、情報モラルの育成に努めることが必要である。さらに、生徒指導の充実と供に学校教育全体を通して、日頃より道徳性の涵養とともに薬物乱用や性に関する情報への対応など適切な意志決定や行動選択の必要性などへの理解などに努めることが必要である。
これらのことを実現するため、本研究では以下の内容を実施する。
@実態調査(調査対象:県内小中高等学校)
情報モラルに関する教師・児童生徒の意識調査
情報モラルに関わる指導の実施状況調査
A小中高等学校一貫した指導計画
指導事例の収集、指導事例の分類・体系化、指導事例の公開
小中高等学校一貫した指導計画への反映
B評価
作成した指導計画に基づく実践と評価、指導計画の改善
C教員研修への反映
2.研究の領域(該当するものに○印をつけ、これらの関係を記述してください。)
( )@「情報活用の実践力」の育成を目標にした実践
( )A「情報の科学的な理解」の育成を目標にした実践
( )B「情報社会に参画する態度」の育成を目標にした実践
( )C情報教育に役立つシステムやカリキュラム、コンテンツの開発
(○)D教員の情報教育指導力向上のためのカリキュラム開発や研修の実践
上記で○印をつけたことに関する具体的な特色を記述してください。(500〜600字程度)
本研究では、次のa〜e.を行う。
a.情報モラルに関する教師・児童生徒の意識調査と情報モラルに関わる指導の実施状況調査
b.指導事例の収集・分類・体系化、指導事例の公開
c.小中高等学校一貫した指導計画への反映
d.作成した指導計画に基づく実践と評価、指導計画の改善
e.教員研修への反映
この中でc.とd.は、教員の情報教育指導力向上のためのカリキュラム開発にあたる。現在、県内での情報モラル教育は小・中・高等学校において、それぞれ実施されているが相互の連携は少ない。小・中・高等学校における指導内容の重複を避けるとともに、毎年のように増え続けているネットワーク利用犯罪等にも対応できるよう、効果的な指導を行うことが必要となっている。
また、a.〜d.の成果は、本センターで実施している教員研修に反映させると供に、Web上で公開して各学校での研修で活用する(e.教員研修への反映がこれにあたる)。
さらに、悉皆研修では教育現場における情報モラル教育実践を位置づけており、実践事例を本センターに提出することにしている。この教育現場での実践のための資料として@〜Bを活用するとともに、実践事例を収集して次年度の事例集に追加し、指導計画に反映させる。