火山と噴火ふんか

火山はどうしてできる?

噴火ふんかの仕組み

日本には火山がたくさんあり、世界でも代表てきな火山国です。ここでは火山の活動について学びましょう。

火山とは地下のマグマ(火山の地下にあるどろどろにけた岩のこと)が噴出ふんしゅつして形成けいせいされた山のことをいいます。火山は地球上のあるかぎられた地域ちいきにかたよって分布ぶんぷしています。

火山の種類しゅるいはプレートの分布ぶんぷと大きく関係かんけいしており、大きく分けると海嶺かいれい型、ホットスポット型、海溝かいこう型の3つに分けることができます。

ここでは日本の火山がぞくする海溝かいこう型(あるいは島弧とうこ型ともよびます)火山についてみていきましょう。

海溝かいこう型(島弧とうこ型)火山の噴火ふんかの仕組み

日本のようにりくのプレートの下に海洋かいようプレートがしず海溝かいこう沿いに分布ぶんぷする火山たいです。海洋かいようプレートのしずみこみが噴火ふんかに大きく関係かんけいしています。

1.マグマの発生
海洋かいようプレートがしずむときにいっしょにまきこまれた水により、上部マントルの一部がけて、上昇じょうしょうして、マグマが発生します。
2.マグマまり
マグマが上昇じょうしょうしていき浮力ふりょくうしなうとある深さで止まり、マグマが集まるところがあります。
ここをマグマまりといいます。
3.噴火ふんか
マグマまりにあるマグマがさらに上昇じょうしょうしていくと、まわりの岩盤がんばん圧力あつりょくにたえられなくなってこわれ、地表から急げきに溶岩ようがん火山灰かざんばい噴出ふんしゅつされます。
これを噴火ふんかといいます。 
図1 火山ができる仕組みの模式もしき図(気象庁ホームページより)

噴火ふんかによる主な災害さいがい

大きな噴石ふんせき

噴火ふんかによって火口から大きな岩石がばされる現象げんしょうのうち、おおむね20~30センチ以上いじょうの風の影響えいきょうをほとんどけずに弾道だんどういてぶものを大きい噴石ふんせきとよんでいます。

火口からばされる大きな岩石などは、建物たてものの屋根を打ちやぶるほどの破壊力はかいりょくを持っています。

また、避難ひなんできるまでの時間はほとんどなく、命の危険きけんがあります。

火砕流かさいりゅう

火山によるもっとも危険きけん災害さいがいの一つで、高温の火山灰かざんばい溶岩ようがんが火山ガスと一緒いっしょ斜面しゃめんを高速で流れ下る現象げんしょうです。

火砕流かさいりゅうの温度は数100℃にたっし、流れる速さも時速100キロ以上いじょうにもなる場合もあります。

長崎ながさき県の雲仙岳うんぜんだけでは、火砕流かさいりゅうで1991年に43名、1993年には1名がくなりました。

融雪型火山泥流ゆうせつがたかざんでいりゅう

積雪期せきせつきの火山において噴火ふんかともな火砕流かさいりゅう等のねつによって斜面しゃめんの雪がかされて大量の水が発生し、周辺しゅうへん土砂どしゃや岩石をみながら高速で流下する現象げんしょうです。

泥流でいりゅうの速度は時速60kmをえることもあります。

北海道の十勝岳では1926年の噴火ふんかによって大規模だいきぼ泥流でいりゅうが発生し、144名もの犠牲者ぎせいしゃがでました。

溶岩ようがん

マグマが火口から噴出ふんしゅつして、けた岩石が地表を流れ下る現象げんしょうです。

通過域つうかいき建物たてもの、道路、農耕地のうこうち、森林、集落を焼失しょうしつ埋没まいぼつさせて完全かんぜん不毛ふもうの地と化します。

小さな噴石ふんせき火山灰かざんばい

噴火ふんかにより噴出ふんしゅつした小さな固形物こけいぶつのうち直径ちょっけい2mm以上いじょうのものを小さな噴石ふんせき(火山れき)、直径ちょっけい2mm未満みまんのものを火山灰かざんばいといいます。

小さな噴石ふんせきは、火口から10km以上いじょう遠方まで風に流されて降下こうかする場合もあります。火山から遠くても風下がわ地域ちいきでは、噴火ふんかにきづいたら屋内等に退避たいひするとよいでしょう。

火山灰かざんばいは、時には数十kmから数百km以上いじょう運ばれて広域こういきもり、農作物の被害ひがい、交通麻痺まひ、家屋倒壊とうかい航空機こうくうきのエンジントラブルなど広く社会生活に深刻しんこく影響えいきょうおよぼします。

火山ガス

マグマにけている水蒸気すいじょうき二酸化炭素にさんかたんそ二酸化硫黄にさんかいおう硫化水素りゅうかすいそなどの様々な成分せいぶんが、気体となって放出される現象げんしょうです。

2000年からの三宅島みやけじまの活動では、多量の火山ガス放出による居住地域きょじゅうちいきへの影響えいきょうつづいたため、住民は4年半におよぶ長期の避難ひなん生活を強いられました。

火山噴出ふんしゅつ物による土石流や泥流でいりゅう

火山噴火ふんかにより噴出ふんしゅつした岩石や火山灰かざんばいもっているところに大雨がると土石流や泥流でいりゅうが発生しやすくなります。

火山灰かざんばいもったところでは、数ミリ程度ていどの雨でも発生することがあります。これらの土石流や泥流でいりゅうは、高速で斜面しゃめんを流れ下り、下流に大きな被害ひがいをもたらします。

山体崩壊さんたいほうかい岩屑がんせつなだれ

大規模だいきぼな山くずれのことを山体崩壊さんたいほうかいといいます。この山体崩壊さんたいほうかいによってくずれ落ちた大量の土砂どしゃが流れる現象げんしょう岩屑がんせつなだれといいます。

福島県の磐梯山ばんだいさんでは1888年に山の形が一変いっぺんするほどの山体崩壊さんたいほうかいがおきました。

また、長崎ながさき県の雲仙眉山うんぜんまゆやまでは1792年に山体崩壊さんたいほうかいがおき、岩屑がんせつなだれによって大量の土砂どしゃが有明海に落ちて津波つなみを発生させました。

この一連の災害さいがいによる死者はやく15,000人と、日本史にほんし上の最悪さいあくの火山災害さいがいとなりました。

岐阜ぎふ周辺しゅうへんの活火山

日本には111の活火山があり、岐阜ぎふ周辺しゅうへんにもいくつかの活火山があります。

活火山とは、過去かこ1万年以内いない噴火ふんかした記録きろくのある火山や、現在げんざい活発な噴気ふんき活動がある火山を指します。

むかしは、噴火ふんか記録きろくがあっても現在げんざい休んでいる火山を「休火山」とよんだこともありましたが、今は「休火山」や「死火山」という言葉は使われません。たとええば富士山ふじさんは1707年に噴火ふんかしていますから「活火山」です。

図2 岐阜ぎふ周辺しゅうへんの活火山

岐阜ぎふ付近ふきんの活火山の過去かこ噴火ふんか活動

焼岳やけだけ
標高ひょうこう2455m
過去かこに何度か噴火ふんかした記録きろくのこっています。大正~昭和時代には、たびたび噴火ふんかしており、現在げんざい噴気ふんき活動がさかんです。1995年には、ふもとの工事現場こうじげんば水蒸気すいじょうき爆発ばくはつがあり、4名の方がくなっています。
アカンダナ山
標高ひょうこう2109m
過去かこ1万年以内いないに、火山活動があったことが分かっています。
乗鞍岳
標高ひょうこう3026m
最新さいしん噴火ふんかは、やく2000 年前に恵比須岳えびすだけで発生し、火山灰かざんばい噴出ふんしゅつ溶岩ようがんの流出が起こっています。
山頂部さんちょうぶ噴気ふんきたい存在そんざいしません。
御嶽山
標高ひょうこう3067m
2014年9月27日に水蒸気すいじょうき噴火ふんかが発生し死者・行方不明者ゆくえふめいしゃ合わせて63人の被害ひがいを出しました。現在げんざい噴気ふんき活動が活発となっています。
白山
標高ひょうこう2702m
むかしは活発な噴火ふんかをしていました。1554年には火砕流かさいりゅうも起きています。1659年の噴火ふんか最後さいごしずかになっています。