湿度（しつど）・水蒸気（すいじょうき）

「湿度（しつど）」とは、空気の湿（しめ）り気のことです。

空気には、目には見えないけど、水分がふくまれています。この水分は「水蒸気（すいじょうき）」と呼（よ）ばれ、空気中に水蒸気（すいじょうき）が多いと「空気が湿（しめ）っている」といい、少ない時は「空気が乾（かわ）いている」といいます。

空気中にふくむことのできる水分の量（りょう）は決まっていて、いっぱいいっぱいに水分をふくんでいる時は「湿度（しつど）１００％」、まったく水分をふくんでいない時は「湿度（しつど）０％」と言います（外にはかならず水があるので、自然（しぜん）の中で「０％」になることはまずありません）。

湿度（しつど）というか、湿（しめ）り気がどうしてできるのかは、例（たと）えば、雨が降（ふ）った後は、水が空気中に蒸発（じょうはつ）し、空気が水分を多くふくんでいます。

このため、空気が湿（しめ）ります。逆（ぎゃく）に、雨があまり降（ふ）らない日が続（つづ）くと、空気中の湿（しめ）り気が遠くへ飛（と）ばされてしまい、空気が乾（かわ）いてきます。

他にも、南の海から風がふいてきた時、暖（あたた）かくて海の上を通った空気は湿（しめ）り気を多くふくんでいるので、空気が湿（しめ）ってきます。

ユーラシア大陸（たいりく）では空気が乾（かわ）いていますので、大陸（たいりく）からやってきた高気圧（こうきあつ）におおわれた日は、空気が乾（かわ）いてきます。

空気のふくむことができる水の量（りょう）は、ある一定の量（りょう）に決まっています。

この量（りょう）以上（いじょう）に水が蒸発（じょうはつ）しようとすると、空気中の水分が水蒸気（すいじょうき）でいられなくなり、反対に、水にもど（もど）ろうとします。これらと空気中のちりやほこりがくっついてできたものが、「きり」や「雲」です。

空気が湿（しめ）っている時は、あまり天気が良（よ）くないしるしです。反対に、空気が乾（かわ）いている時は、雲やきりができにくく、天気が良（よ）いしるしです。

ただ、建物（たてもの）や森林の木にふくまれる水分も空気中に蒸発（じょうはつ）し、少なくなりますので、火事が発生しやすくなります。

気象台では、空気がとても乾（かわ）いた時には、「乾燥（かんそう）注意報（ちゅういほう）」を出して、火の取りあつかいに注意してもらうように呼（よ）びかけます。

水は「分子」という非常（ひじょう）に小さな粒（つぶ）が集まってできています。そしてこの分子は熱（ねつ）によって運動しているのです。

分子同士（どうし）は緩（ゆる）やかに手を結（むす）んでいるので、急に飛（と）び出したりはしませんが、水面に近いところでは、一部の分子が少しずつ外へと出て行きます。

これが「蒸発（じょうはつ）」です。冷（つめ）たい水より、温かなお湯のほうが蒸発（じょうはつ）が早いのも、熱（ねつ）が多いぶん運動が激（はげ）しいからです。

また空気が乾（かわ）いていると、分子の入り込（こ）めるすき間も多くなるため、蒸発（じょうはつ）は早くなります。 なお、非常（ひじょう）に温度が低（ひく）いとき、たとえば０度以下（いか）のときでも、「熱（ねつ）」を持っているので(※)、やはり水の分子は空気中に飛（と）び出します。

しかしこのような状況下（じょうきょうか）では水は氷になっています。氷は水よりは分子同士（どうし）の手の結（むす）び方もかたいのですが、それでも一部の分子は飛（と）び出します。 これは「昇華（しょうか）」とよばれます。

※熱（あつ）い＝「大きな熱（ねつ）を持っている」
　 冷（つめ）たい＝「小さな熱（ねつ）を持っている」

空気１立方メートルあたりに入ることのできる水の量（りょう）を飽和（ほうわ）水蒸気（すいじょうき）量（りょう）といいます。 湿度（しつど）９０パーセントというのは、この量（りょう）の９割（わり）ということです。そしてこの飽和（ほうわ）水蒸気（すいじょうき）量（りょう）は温度によって大きく違（ちが）います。

温度が高ければ同（おな）じ９０パーセントの湿度（しつど）でも、たくさんの水分を含（ふく）んでいることになります。

下の図は、部屋の大きさを２５立方メートルとして、湿度（しつど）９０パーセントのときの部屋の中にある水蒸気（すいじょうき）量（りょう）です。

コップ１杯（はい）の水を１５０グラムくらいとすると、気温２５度で湿度（しつど）９０パーセントなら、部屋の水分はコップ３～４杯（はい）といったところでしょうか。

残念（ざんねん）ながら、気象庁（きしょうちょう）の観測（かんそく）では、令和3年2月までは湿度（しつど）を岐阜と高山しか測（はか）っていません。

令和3年3月4日以降（いこう）に、順番（じゅんばん）に、アメダス機器（きき）の更新（こうしん）を行い、湿度（しつど）の観測（かんそく）を始める予定（よてい）です。

くわしくは、令和３年２月２６日の気象庁報道発表資料をごらんください。

湿（しめ）りぐあいを表す「湿度（しつど）」には、さまざまな呼（よ）び方があります。

ふだん、みなさんが目にする「７０％」などは、正確（せいかく）には「相対（そうたい）湿度（しつど）」というものです。

この相対（そうたい）湿度（しつど）を、一日を通して観測（かんそく）すると、高くなったり小さくなったりします。そのうち一番小さな値（あたい）になった時の湿度（しつど）を「最小（さいしょう）湿度（しつど）」と呼（よ）びます。晴れたふつうの日は、最高（さいこう）気温が観測（かんそく）される午後２時～３時ごろに、最小（さいしょう）湿度（しつど）を観測（かんそく）することが多いです。

いっぽう、「実効（じっこう）湿度（しつど）」は、木材（もくざい）の乾燥（かんそう）具合（ぐあい）を表すものとされています。

これは、当日の平均（へいきん）（相対（そうたい））湿度（しつど）と、前日の平均（へいきん）湿度（しつど）を使って計算されます。

もっとこまかく、２日前や３日前の平均（へいきん）湿度（しつど）も用いることもあります。

最小（さいしょう）湿度（しつど）が約（やく）２５％、実効（じっこう）湿度（しつど）が約（やく）６０％より低（ひく）くなると、乾燥（かんそう）して火事が発生しやすくなったり、発生した火事が広がりやすくなると言われています。

気象庁（きしょうちょう）では、最小（さいしょう）湿度（しつど）や実効（じっこう）湿度（しつど）をもとにして、「乾燥（かんそう）注意報（ちゅういほう）」として発表し、注意を呼（よ）びかけています。

岐阜県では、最小（さいしょう）湿度（しつど）（１日のうち最（もっと）も小さい湿度（しつど））２５％以下（いか）で、かつ実効（じっこう）湿度（しつど）（木材（もくざい）のかわき具合（ぐあい）を示す値（あたい））６０％以下（いか）となることが予想される時に、乾燥（かんそう）注意報（ちゅういほう）を発表しています。

汗（あせ）をかいている時、そこから水分が蒸発（じょうはつ）するため、目に見えない水蒸気（すいじょうき）が出ているはずです。

そのため空気の状態（じょうたい）によっては、人の汗（あせ）からも湯気（ゆげ）の出ることがあるかもしれません。

湯気（ゆげ）は、空気中に水蒸気（すいじょうき）がいっぱいになってしまって（飽和（ほうわ））、水蒸気（すいじょうき）が小さな水滴（すいてき）となって出てくる現象（げんしょう）です。

もともとの空気が冷（つめ）たくて湿（しめ）っていればいるほど、湯気（ゆげ）は出やすくなります。これは、冬になると、吐（は）く息（いき）が白くなるのと同（おな）じです。

その日はどうでしたか？

気象庁（きしょうちょう）では、湿度（しつど）は、令和3年2月現在、岐阜市と高山市でしか観測（かんそく）していません。

気象庁ホームページ＞各種データ・資料＞過去の気象データ検索（けんさく）のページで調べることができます。

岐阜市はこちらのリンク、高山市はこちらのリンクから調べてください。