海・エルニーニョ現象・気候(きこう)

質問しつもんの一覧

潮(しお)

気候(きこう)エルニーニョ・猛暑(もうしょ)と温暖化(おんだんか)

予報官からの答え

寺沢さん:20代 月の満ち欠けと潮の高低は関係あるのですか。
e-予報官 これを説明する前に、月・地球の位置と、潮の満ち引きについて簡単に説明しましょう。
月は地球の周りを回っていますが、月が回転するときに生まれる力(遠心力)と、
月と地球が引っぱりあう力(万有引力)の2つの力によって、
地球が外向きに引っぱられたり、内向きに押さえられたりします。
このため、地球の表面にある海水も、
外向きに引っぱられたり、内向きに押さえられたりします。
月・地球の位置と、潮の満ち引きの関係は、下の図のようになっています。

地球は1日で自転していているので、
図の位置から、およそ半日後には、地球の反対側に回ってきます。
(正確には、月が地球の周りを回っているので、約12時間25分後です)
このとき、また同じところが満潮・干潮になるので、
満潮・干潮ともに、1日におよそ2回やってくるのです。

さて、上の図では月と地球だけを見ていましたが、
宇宙には他にも、たくさんの星があります。
その中でも大きなえいきょうを持つ星が、太陽です。
太陽も、同じように地球に力を加えるので、
太陽に海水が引っぱられたり、ぎゃくに押さえられたります。
ただし、そのえいきょうは月の半分以下ほどです。

地球から見て、太陽と月が同じがわにあるとき(新月)、
または反対がわにあるとき(満月)は、
満潮のときに太陽に引っぱられる力が加わるので、
満潮の潮の高さは、より高くなり、ぎゃくに、干潮のときは潮がより低くなります。
このように、満潮と干潮の潮の高さの差が大きくなります。
(「干満の差が大きい」といいます)
このときの潮のじょうたいを、「大潮(おおしお)」といいます。
つまり、満月、新月のときは大潮(干満の差が大きい)です。
また、地球から見て、月の90度ずれたところに太陽があるとき(半月)は、
満潮のときは太陽から押さえらる力を受けるので、
満潮の潮の高さは低くなり、ぎゃくに、干潮のときは潮が高くなります。
(「干満の差が小さい」といいます)
このときの潮のじょうたいを、「小潮(こしお)」といいます。
つまり、半月のときは小潮(干満の差が小さい)です。
月は、地球の周りを約29.5日で一周するため、
満月や半月は1か月におよそ1回やってきますが、
大潮や小潮は、1か月におよそ2回やってくるのです。

火星や金星など、他の星のえいきょうも全く無いわけではありませんが、
月、太陽のえいきょうよりはずっと小さいため、ほとんど無視できます。
また、海水と同じように、地球の大気(空気)や、
地球の表面自体も、太陽や月に引っぱられたり押さえられたりしています。

CATさん:中学生 こんにちは。私がかかえている質問というのは 1.なぜ梅雨前線が同じ場所ばかりにあるのか?
2.なぜ周りの高気圧はずっと停滞し続けたのか?
3.これは環境問題なども絡まれてくるのか→だとしたらどんなですか?
e-予報官 まず高気圧が動かないのと、梅雨前線が同じ場所にあるのは同じ理由ですが、夏の高気圧は大気の大循環のシステム上、動かないものなのです(だから長雨になります)。
新潟などの場所に豪雨が降ったのはたまたまでしょう。少し風向きが違えば、隣の県に降ったかも知れません。
あと、環境問題との関係は軽率に言えません。集中豪雨や猛暑をただちに炭酸ガス増加などの温暖化と関連させる論調も目立ちますが、確実な証拠はないからです。
環境問題はたしかに大事なことですが、今の異常気象と強引に結び付けてしまうことは危険です。
朱夏さん:小学生 なぜ、北極と南極は温度が違うの???
赤道から見たら、同じ距離なのに、南極の方が寒いの???
e-予報官 北極は海になっていますが、南極は陸地になっています。
そして、南極ではその陸地の上にどんどんと雪が降り積もり、厚さ2,000メートルもの氷の層・氷河となっています。
そのため、南極は平均の高さが2,300メートルもあって、富士山の5合目と同じ高さです。 もともと太陽の光が当たりにくく、気温の低い極地であり、なおかつ高い山と同じ気候となれば、寒いのも当然と言えますよね。
じんさん:中学生 ヒートアイランド現象について教えてください
e-予報官 都市部ではコンクリートやアスファルトなど、 熱を貯めやすいものが多く(熱容量という) このため、一度暖まると、冷えるのに時間がかかります。 そしていずれは、周りより気温が 高い状態が常に続くこととなります。 この気温の分布が【島】のように見えるため、 ヒート(熱)アイランド(島)と呼ばれるようになりました。
きいちろうさん:中学生 ヒートアイラント現象とスコールの関係
e-予報官 「スコール」という現象は風の急変のことで、 雨を伴うことも多いのですが、必ずしも雨を意味しません。 しかし質問内容から、強いにわか雨のことと思います。 都市化によるヒートアイランド現象が、強い雷雲を生み出すと いう説は最近多く出されており、現実に大都市では、 短い時間での強い雨が増えているのは事実のようです。 都市で温められた空気が、上空へ持ち上がりやすい、 あるいは郊外との気温に差が大きくなり、 雨雲を強めると言った説が出されていますが、 いまも研究の途中です。
池田さん:40代 子供(中2)の理科の季節風の解説の中で、
「夏の季節風が太平洋からシベリアの方向に吹くのは、
夏の大陸の温度が、太平洋の海洋の温度よりも高いからだ」
と書いてありましたが、
緯度の低い太平洋付近の温度の方が夏も冬も高いのではないかと思われますが、
本当はどうなんでしょうか? 
e-予報官 おっしゃる通り、夏も太平洋の赤道近くのほうがシベリアよりも気温は高いです。
ただし、同じ緯度の海と陸で比べた場合、
シベリアのほうが、北海道の東を流れる親潮よりも温度が高くなります。
このため、大規模な南東の風が、太平洋から大陸に向かって吹きこむのです。
ただし、気温差は冬より大きくないため、
冬の北西の季節風にさらされる日本海のように、暴風となることはまずありません。
ユウカさん:小学生 なぜ、気候は変わるの?
e-予報官 大気が、平均してどんな状態なのかを表すのが、気候です。 気候変動の理由としては、地球表面の約7割をおおっている海の影響が大きくなります。 大気と海はお互いに、熱や水蒸気をやりとりしているので、海の流れ(海流)や海の温度が変動すると 大気にも影響を与えて、気候が変動する場合があるのです。 このほかにも、例えば、火山の噴火によって、まき上げられた物質が空に広がって 太陽の熱をさえぎったりすることで気候が変わることもあります。 また最近は、人間の経済活動によっても気候が変動するのではないかと言われてきました。しばしば耳にする 温暖化ガスによる「地球温暖化」です。しかし、 こちらは研究者によって説がまちまちで、実際どの程度の影響があるのかは分かっていません。
金子さん:中学生 僕達は、今、異常気象について調べているんですけど、異常気象とは、 25年に一度起こるか起こらないぐらいとか、50年に一度起こるか起こらないぐらいとかの説があるようですが、 本当は、どっちなんですか。
e-予報官 50年に一度とか25年に一度、というのは、その異常気象の種類によっても異なり、 はっきりとした規定はありません。 異常気象とは、一般に過去に経験した現象から大きく外れた現象で、人が一生の間にまれにしか 経験しない現象を言います。この「まれにしか経験しない」とは数十年間に1回程度で発生する現象を 言います。 詳しくは、全球異常気象監視速報にありますので参考にしてみてください。
斉藤さん:中学生 自由研究で異常気象について調べているのですが 異常気象にはどんなものがあるのでしょうか。 あとその内容も教えてください。よろしくお願いします。
e-予報官 異常気象には、冷夏、暑夏、寒冬、暖冬、日照不足、長雨、干ばつなど があります。具体的な内容は、 気象庁ホームページの 全球異常気象監視速報をご覧下さい。
モチさん:10代 どのようにしたら異常気象を防げるんですか? 地球温暖化を防ぐ取り組みと一緒ですか??
e-予報官 最近の異常気象が人為的なものかどうかも良く分かっていません 。人為的なものであれば、 浪費的な生活を少し控えることで、改善もされるのでしょうが、 もし人為的でないとすれば、 人間の力でどうこうできる問題ではなくなりますね。
瀬尾さん:小学生 日本で異常気象は起こっているのですか?
e-予報官 異常気象については、気象庁ホームページの 全球異常気象監視速報を参考にしてみてください。 毎週の世界の情報があります。
宏樹さん:20代 干ばつが起こる条件とその被害について
e-予報官 干害(少雨)は次の場合が考えられます。 冬型・夏型の気圧配置が安定するときです。 地域によっては好天が続きます。 あと、季節にかかわらず、上空の風が西から北西に流れている ときも、雨が降りにくい状態が続きます。 水道への給水などのほか、農作物に被害が出ることがあり得 ますが、「日照りに不作なし」という言葉もあって、 低温・寡照よりは、被害は少ないようです。
田島さん:20代 現在、大学の研究で、高山市の気温変動とソメイヨシノの開花日について調査しています。
私が調べましたところ、高山市の60年代から、90年代の約40年間、地球温暖化に対し、 4月の気温変動がみられないことがわかりました。積雪などの関係からでしょうか? その理由がわかれば教えてください。
e-予報官 確かに、「60年代の平均気温に対する」近年の気温上昇は、 夏よりも冬に顕著に現れていて(図1、図2)。 特に4~5月は気温の上昇が小さくなっています。 でも、例年4月の積雪は、高山でも1.4日に限られますし、4月にまったく積雪記録のない岐阜でも、 似たような傾向があるため、積雪のせいではないようです。
ではなぜ、4月の気温上昇は小さいのでしょうか?
高山の4月の月平均気温を、もっと過去の1900年代からプロットしたのが図3です。 すると、1960年代にひとつの気温の山があることがわかります。 つまり、60年代が4月にとっては高温の時代だったため、60年代を基準として 見るとあまり気温が上昇していないように見えるというわけです。

図1 高山の10年毎の月平均気温(60年代の平均値を0とした場合の差)
図2 岐阜の10年毎の月平均気温(60年代の平均値を0とした場合の差)
図3 高山の4月の平均気温(10年毎)