雪(ゆき)

質問しつもんの一覧

予報官からの答え

賢次さん:30代 雪と雨の違い? どのような気象状況で雨になったり雪になったりするのですか?
e-予報官
最も影響を受けるのは気温です。
当然のように気温が低い方が雪にはなりやすいです。
ただし、気温だけでなく湿度にも影響を受けます。たとえば気温が3℃で湿度が50%ならたいていは雪になりますが、同じ3℃でも湿度が100%ならほとんど雨になってしまいます。
気温が0℃以上で湿度が高い場合は、みぞれとして、雨・雪の混在した状態で降ることもあります。 さらに上空の気温も影響することがあります。たとえ地上の気温が低くても、上空に0℃以上の暖かい空気の層がある場合は、雨や凍雨(いったん融けた雪が途中でふたたび凍る)、着氷雨(0℃以下の凍っていない水滴が地上まで落ちて凍りつく)になることがあります。
(名前なし)さん:小学生 どうすれば雪を予報できるんですか?
資さん:小学生 降雪をどうやって予報するの?
e-予報官 そのときの気圧配置と温度によって判断します。
気圧配置では雨・雪が降るかどうかを、また温度を考慮し、降ってくるものが雨になるか雪になるかを予測します。
特に上空、1,500メートル付近の気温を参考にする場合が多いのですが、ここの温度が-6度より低ければ雪になりやすく、また0度より高ければまず雨になります。
-6度から0度の間の時は、そのときの気圧配置によって違います。ひとことでは表せませんが、そこを判断するのが予報官の能力ともいえるわけです。
ポチさん:中学生 冬には日本海側で雪が多く、太平洋側では晴れが多いわけ。
e-予報官 冬には、日本には北西の季節風が吹いてきます。 この風は、日本海の上をわたってくる間に、海から水蒸気を取りこんで、 雲を作って、北陸地方中心に雪を降らせます。雲は、だいたい山脈にさえぎられ てしまうので、山の反対側までは入って行きません。このため、太平洋側では、 雪の降り終わった乾いた空気が入ってくるので、晴天になることが多いのです。
ライさん:10代 太平洋側には雪は降らないのですか。
e-予報官 全く降らないわけではなく、春に近づく2月や3月ごろ太平洋側でも大雪となることがあります。 日本海側の雪は、こちらにありますが、 太平洋側の雪は、主に日本の南側を通る低気圧によるものです。 関東地方や東北地方の太平洋側などでは、この低気圧によって、冷たい空気が引き込まれるため、 雪が降るのです。
ポチさん:中学生 太平洋側で、大雪となるのはどんなときですか?
e-予報官 太平洋側で大雪が降るのは、次の2つのパターンです。

(1)岐阜市や名古屋市など、東海地方の太平洋側では、
強い冬型の気圧配置になったとき、
北寄りの季節風とともに日本海からの雪雲が流れこんで、
時おり、大雪になることがあります。
とくに、風向きが北西または北北西となったときに、
雪雲が、まわりより標高の低い関ケ原付近を抜けて、
濃尾平野に流れ込みやすくなります。
東北の仙台や、中国地方の広島などでも同じような理由で、
大雪になることがあります。
ただ、北側に高い山を持っていたり、
日本海から離れて過ぎいるために、
関東地方や静岡県、大阪周辺などでは、
冬型の気圧配置のときには大雪にはなりにくいです。

(2)低気圧が日本の南海上を東北東や北東に進んでいる時、
その低気圧のさらに北東に寒気があれば、
低気圧が寒気を引きよせて、大雪になることがあります。
東北地方の太平洋側や、関東地方で大雪になるのは、
このパターンです。
ただし、寒気が弱い時は雪にならず雨のままで降ることもあり、
その予想はベテラン予報官でも悩むほど大変難しいです。
地形のせいで北東からの寒気が入りにくい
東海地方や近畿地方では、
雪にならず雨が降ったり、降っても少なかったりするので、
大雪になりにくいです。
亀川さん:小学生 なぜ うまく固まる雪とうまく固まらない雪があるのですか?
e-予報官 雪合戦の雪玉を作るとき、ボールのように固まる雪と固まらない雪があります。
これは雪の湿り具合によります。
湿った雪(雪をとかすと十分の一くらいの体積になる)は固めるとすぐに雪の玉になって固まりますが、 乾いた雪(雪をとかすと二十分の一くらいの体積になる)ではいくら固めてもパサパサと崩れてしまいます。
前田さん:30代 次の現象の違いを教えてください。
雪あられ
凍雨
氷あられ
氷霧
霧氷
霧雪
e-予報官 気象庁ではだいたい、以下のように区別しています。
  • 雪あられ
    白い色で不透明な氷のつぶ。直径は5ミリに達することもある。固い地面に当たるとはずんで、割れることもある。簡単につぶれる。
  • 凍雨(とうう)
    透明な氷のつぶ。直径は5ミリ未満。固い地面に当たるとはずむ。簡単にはつぶれない。部分的に液体のこともある。
  • 氷あられ
    半透明な氷のつぶ。直径は5ミリを超えることもある。固い地面に当たるとはずみ、簡単にはつぶれない。
  • 氷霧(ひょうむ)
    多数のごく小さな氷の結晶(直径1000分の2~30ミリ)が大気中をただようこと。北のほうの地方や、高い山で、気温がマイナス30℃以下の静かな晴れた日に現れる。(いわゆる「ダイヤモンドダスト」)
  • 霧氷(むひょう)
    樹木や地面にある物に白色または半透明の氷が付いたもの。
  • 霧雪(きりゆき)
    ごく小さく、白色で不透明な氷のつぶの雪。直径は1ミリ未満。固い地面に当たってもはずまないし、こわれない。
桝鏡さん:中学生 氷とあられの、ちがいはなんですか?
e-予報官 水がこおってできるものを、まとめて「氷」と言いますから、
あられも、氷でできているので、物質的には、同じ物です。
空から降ってくる氷の中で、直径がだいたい2~5mmのものを「あられ」と呼んでいます。
あられには、白くてもろい「雪あられ」と、半透明状でかたい「氷あられ」があります。
雲の中には、0℃以下でもこおらずにいる水の粒がたくさんあって、
この粒がくっついてこおる時、瞬時にこおりつくと、丸い水の粒が、ほぼ丸いまま、
お互いにすきまをあけた状態で固まるので、すかすかでこわれやすい「雪あられ」となります。
反対に、ゆっくりとこおる時には、すきまをうめるように固まるので、かたい「氷あられ」になります。
若さん:中学生 どうして盆地には雪が少ないの?
e-予報官 盆地での雪は、まわりの山などよりは少なくなるでしょう。 理由は山を越えた空気は下降しながら、 圧縮されることで温度が上がり、そのため同時に乾くためです。 ですから、雪だけでなく雨も少ない傾向があります。
中川さん:小学生 積雪がとけて水に変わったときの降水量は計算できますか?
e-予報官  積雪の深さを計算して降水量を求めるのは、むつかしいと思います。ただ、ある一定の 面積に積もった雪の重さをはかればおおよその降水量を計算することはできると 思います。気象台では、雪を溶かした水の量を観測することにより降水量を求めています。