雪

最（もっと）も影響（えいきょう）を受けるのは気温です。

当然（とうぜん）のように気温が低（ひく）い方が雪にはなりやすいです。ただし、気温だけでなく湿度（しつど）にも影響（えいきょう）を受けます。たとえば気温が３℃で湿度（しつど）が５０％ならたいていは雪になりますが、同じ３℃でも湿度（しつど）が１００％ならほとんど雨になってしまいます。

気温が０℃以上（いじょう）で湿度（しつど）が高い場合は、みぞれとして、雨・雪の混在（こんざい）した状態（じょうたい）で降（ふ）ることもあります。

さらに上空の気温も影響（えいきょう）することがあります。たとえ地上の気温が低（ひく）くても、上空に０℃以上（いじょう）の暖（あたた）かい空気の層（そう）がある場合は、雨や凍雨（とうう）（いったん融（と）けた雪が途中（とちゅう）でふたたび凍（こお）った氷の粒（つぶ））、着氷雨（０℃以下の凍（こお）っていない水滴（すいてき）が地上まで落ちて凍（こお）りつく雨）になることがあります。

そのときの気圧配置（きあつはいち）と温度によって判断（はんだん）します。

気圧配置（きあつはいち）では雨・雪が降（ふ）るかどうかを、また温度を考慮（こうりょ）し、降（ふ）ってくるものが雨になるか雪になるかを予測（よそく）します。

特（とく）に上空、１,５００メートル付近（ふきん）（）の気温を参考（さんこう）にする場合が多いのですが、ここの温度が－６度より低（ひく）ければ雪になりやすく、また０度より高ければまず雨になります。

－６度から０度の間の時は、そのときの気圧配置（きあつはいち）によって違（ちが）います。ひとことでは表せませんが、そこを判断（はんだん）するのが予報官（よほうかん）の能力（のうりょく）ともいえるわけです。

冬には、日本には北西の季節風（きせつふう）が吹（ふ）いてきます。

この風は、日本海の上をわたってくる間に、海から水蒸気（すいじょうき）を取りこんで、雲を作って、北陸（ほくりく）地方中心に雪を降（ふ）らせます。

雲は、だいたい山脈（さんみゃく）にさえぎられてしまうので、山の反対側（がわ）までは入って行きません。

このため、太平洋側（がわ）では、雪の降（ふ）り終わった乾（かわ）いた空気が入ってくるので、晴天になることが多いのです。

全く降（ふ）らないわけではなく、春に近づく２月や3月ごろ太平洋側（がわ）でも大雪となることがあります。

日本海側（がわ）の雪は、前の質問（しつもん）への回答にありますが太平洋側（がわ）の雪は、主に日本の南側（がわ）を通る低気圧（ていきあつ）によるものです。

関東地方や東北地方の太平洋側（がわ）などでは、この低気圧（ていきあつ）によって、冷（つめ）たい空気が引き込（こ）まれるため、雪が降（ふ）るのです。

太平洋側（がわ）で大雪が降（ふ）るのは、次の２つのパターンです。

（１）岐阜市や名古屋市など、東海地方の太平洋側（がわ）では、強い冬型（ふゆがた）の気圧配置（きあつはいち）になったとき北寄（よ）りの季節風（きせつふう）とともに日本海からの雪雲が流れこんで、時おり、大雪になることがあります。

とくに、風向きが北西または北北西となったときに、雪雲が、まわりより標高（ひょうこう）の低（ひく）い関ケ原付近（ふきん）を抜（ぬ）けて、濃尾（のうびく）平野に流れ込（こ）みやすくなります。東北の仙台や、中国地方の広島などでも同じような理由で、大雪になることがあります。

ただ、北側（がわ）に高い山があったり、日本海から離（はな）れ過ぎるために、関東地方や静岡県、大阪周辺（しゅうへん）などでは、冬型（ふゆがた）の気圧配置（きあつはいち）のときには大雪にはなりにくいです。

（２）低気圧（ていきあつ）が日本の南海上を東北東や北東に進んでいる時、その低気圧（ていきあつ）のさらに北東に寒気があれば、低気圧（ていきあつ）が寒気を引きよせて、大雪になることがあります。

東北地方の太平洋側（がわ）や、関東地方で大雪になるのは、このパターンです。

ただし、寒気が弱い時は雪にならず雨のままで降（ふ）ることもあり、その予想はベテラン予報（よほう）官でも悩（なや）むほど大変（たいへん）難（むずか）しいです。

地形のせいで北東からの寒気が入りにくい東海地方や近畿（きんき）地方では、雪にならず雨が降（ふ）ったり、降（ふ）っても少なかったりするので、大雪になりにくいです。

雪合戦（がっせん）の雪玉を作るとき、ボールのように固（かた）まる雪と固（かた）まらない雪があります。

これは雪の湿（しめ）り具合（ぐあい）によります。

湿（しめ）った雪（雪をとかすと十分の一くらいの体積（たいせき）になる）は固（かた）めるとすぐに雪の玉になって固（かた）まりますが、 乾（かわ）いた雪（雪をとかすと二十分の一くらいの体積（たいせき）になる）ではいくら固（かた）めてもパサパサと崩（くず）れてしまいます。

気象庁ではだいたい、以下のように区別しています。

雪あられ

白い色で不透明（ふとうめい）な氷のつぶ。直径（ちょっけい）は５ミリに達（たっ）することもある。固（かた）い地面に当たるとはずんで、割（わ）れることもある。簡単（かんたん）につぶれる。

凍雨（とうう）

透明（とうめい）な氷のつぶ。直径（ちょっけい）は５ミリ未満（みまん）。固（かた）い地面に当たるとはずむ。簡単（かんたん）にはつぶれない。部分的に液体のこともある。

氷あられ

半透明（とうめい）な氷のつぶ。直径（ちょっけい）は５ミリを超（こ）えることもある。固（かた）い地面に当たるとはずみ、簡単（かんたん）にはつぶれない。

氷霧（ひょうむ）

多数のごく小さな氷の結晶（けっしょう）（直径（ちょっけい）１０００分の２～３０ミリ）が大気中をただようこと。北のほうの地方や、高い山で、気温がマイナス３０℃以下の静かな晴れた日に現（あらわ）れる（いわゆる「ダイヤモンドダスト」）。

霧氷（むひょう）

樹木（じゅもく）や地面にある物に白色または半透明（はんとうめい）の氷がついたもの。

霧雪（きりゆき）

ごく小さく、白色で不透明（ふとうめい）な氷のつぶの雪。直径（ちょっけい）は１ミリ未満（みまん）。固（かた）い地面に当たってもはずまないし、こわれない。

水がこおってできるものを、まとめて「氷」と言いますから、あられも、氷でできているので、物質的（ぶっしつてき）には、同じ物です。

空から降（ふ）ってくる氷の中で、直径（ちょっけい）がだいたい２～５ｍｍのものを「あられ」と呼（よ）んでいます。

あられには、白くてもろい「雪あられ」と、半透明（はんとうめい）状（じょう）でかたい「氷あられ」があります。

雲の中には、０℃以下でもこおらずにいる水の粒（つぶ）がたくさんあって、この粒（つぶ）がくっついてこおる時、瞬時（しゅんじ）にこおりつくと、丸い水の粒（つぶ）が、ほぼ丸いまま、おたがいにすきまをあけた状態（じょうたい）で固（かた）まるので、すかすかでこわれやすい「雪あられ」となります。

反対に、ゆっくりとこおる時には、すきまをうめるように固（かた）まるので、かたい「氷あられ」になります。

盆地（ぼんち）での雪は、まわりの山などよりは少なくなるでしょう。

理由は山を越（こ）えた空気は下降（かこう）しながら、圧縮（あっしゅく）されることで温度が上がり、そのため同時に乾（かわ）くためです。

ですから、雪だけでなく雨も少ない傾向（けいこう）があります。

積雪（せきせつ）の深さを計算して降水量（こうすいりょう）を求（もと）めるのは、むつかしいと思います。

ただ、ある一定の面積（めんせき）に積（つ）もった雪の重さをはかればおおよその降水量（こうすいりょう）を計算することはできると思います。

気象台では、雪を溶（と）かした水の量を観測（かんそく）することにより降水量（こうすいりょう）を求（もと）めています。