「目線」


 いつの間にか定着してしまった「目線」という言葉だが、出始めは「へんてこな言葉だなあ。視線と言えよ」と思ったものだった。しかし、ほとんど抵抗もないままに、すっかり定位置を占めてしまったように思う。それどころか、「視線って何だ?」とか思われている気がする。そういえば、「カメラ目線」とは言っても「カメラ視線」とは言わない。しかし、「視線を感じる」と「目線を感じる」のどちらが使われ、どちらが正しいであろうか。
 いや、つまり「目線」は、単に目の向いている方向といったほどの意味であり、「視線」にはそれ以上に注視する思いが働いていると見るべきであろうか。このように、使い分けがされれば、定着するのも無理はない。
 はやり始めのころには「子どもの目の高さで」とか、そういう言葉が使われていた。「子どもの目線で」というのも、このころの言葉だった。
 こんなに一般化するとは思わなかった。流行語、あなどるべからず。

 

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