「さりげに?」
「さり気なく」については、「さりげに」とどちらが正しいのかという質問があったぐらいの混乱ぶりだ。まともに使えていたはずの人も、流行に流されて、思わず使ってしまうことさえある。
「悪貨は良貨を駆逐する」というが、言葉にもそういうことがあてはまるのだろう。良い言葉が身の置き所をなくしている。これまでは疑問に思うこともなかった「さり気なく」も、こうなると意味をはっきり知らないで使うことはできない。まず、どんな字を当てればよいのか。
「さりとて」「さりながら」というように、「さり」とは、「そうである」という意味合いを持っている。すると、「さり気」というのは、「いかにもそうであるような様子」ということになる。つまり、漢字で書けば「然り気」である。「さり気ない」というのは、表からはまったくそんなようすがうかがえないということだ。
ボクの高校の友達には「さりげ」というあだ名をつけられた男がいたが、さり気ない奴だからだと誰かが説明していた。この問題の発生は、二十四年も前にあったようだ。
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