「もじもじ」
遠慮や恥ずかしさのため、したいことができずに落ち着かない様子を、ボクたちはなんと表現しているだろうか。
「もじもじ(する)」である。
いやしかし、おかしな言葉ではないか。「もじもじ」なんて。そもそも「もじもじ」とは、何を表しているのか。
ボクの考えを公開しておきたい。ボクは、これを「文字文字」と考えた。かなりまじめに、である。
今ほど男女の間がオープンではなかったころ、恋しい人と話をすると胸がドキドキして、「お目にかかれた」「ああ恥ずかしい」「ご親切に声をかけてくださって」「ニンニク臭くないかしら」などさまざまなことが頭の中を去来して、ずいぶん緊張したはずだ。
これを江戸時代の女房言葉で言うと「お目文字できたが、おは文字で、ご親文字にも声をかけてくださったが、に文字の臭いはないかしら」などということになる。
・お目文字=お目にかかる
・おは文字=はずかしい
・ご親文字=ご親切
・に 文 字=にんにく
これらを文字詞という。言葉の初めの部分と「文字」という言葉を組み合わせて表現するのだ。
要するに、そんな恥ずかしさの中、くねくねしながら、「ああ、お目もじ……」「ああ、おは文字」とやっている姿が「モジモジしている」のだと思う。
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