「おみおつけ」
女房詞について書いてしばらくになるが、このほど、この言葉の歴史上の位置が分かった。室町時代初期に宮中に仕える女官たちが上品な言葉遣いとして使い始めた隠語表現のことだという。思ったより新しいものだったのだ。
女房詞の代表は「お」のつく単語である。腹は「おなか」、強飯(こわめし)は「おこわ」、欠餅(かきもち)は「おかき」と呼ぶなどの例があり、これらは今も現役選手である。
吸い物を「御付け」というのもこの類だ。飯に並べて付けられるのでこう呼んだものが意味を広げ、味噌汁を指すようになったが、「おつけ」が定着すると、もっと丁寧に言いたくなる。そういうわけで「御」をつけたのが「御お付け(みおつけ)」で、それも当たり前になると、さらに「お」をつけたくなったようだ。こうして「おみおつけ」という言葉が生まれたらしい。
これを漢字で書くと「御御御付」となる。ウソだと思ったら辞書を引くことだ。ばかばかしいようだが本当に載っている。
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