「おおみそか」 


 「十」をどう読むかというと、「とお」である。そして、「そ」である。
 「三十一文字」を「みそひともじ」と読み、「山本五十六」という人を「やまもといそろく」と読む。これを知ったのはいつのことだったか。
 さて、そういうわけだから、三十代を「三十路(みそじ)」といい、四十代を「四十路(よそじ)」という。こうして、「五十路(いそじ)」「六十路(むそじ)」「七十路(ななそじ)」「八十路(やそじ)」と呼ぶ。その次は「九十路」であるが、こちらは「ここのそじ」と読む。ふりがなをつけないと、「くそじ」と読んでしまいそうだ。(いや、たった今、読み違えた人が何人かいる。)
 さて、「大みそか」とは各月の「三十日(みそか)」の総締めくくりということか。すると、十二月三十一日は、みそかと呼ぶには一つ余分だ。昔は今とは違うカレンダーを使っていたのだから当然かもしれないが、当の十二月にしても、二月に一日明け渡して自分は三十日止まりにするなどの努力をするべきだと思う。そうすれば、名実ともに「大みそか」になれるのだし、二月だって、二十八日しかないことを恥ずかしがらなくても済む。

 

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