「ようさ」


 岐阜では夕方から夜八時ぐらいまでの時間帯を「ようさ」
 という。子どものころ、宿題を忘れると、
 「なんでようさのうちにやっとかなんだ」と叱られたものだ。
 この言葉もまた、平安時代の言葉のようだ。
 辞書によれば、
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 ようさり―つかた【夜さりつ方】
  夜がやってきた時分。夕方。  
 「夜さりつ方、二条院へわたり給はむとて/源氏(若菜下)」 
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 よさり     【夜さり】
 〔「さり」は、来る、近づくの意を表す動詞「去る」の
   連用形から〕 
  夜になったころ。夜分。
  特に、今夜・今晩の意を表すこともある。
  副詞的にも用いられる。ようさり。
 「さらに、夜さりこの寮(つかさ)にまうで
              来(こ)とのたまひて/竹取」 
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 使用頻度が高いからだろうか、消えてなくならない言葉だ。
 必要の多い言葉は息が長い。竹取物語の昔にまでさかのぼってしまった。

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