「B紙」


 あるテレビ番組「わら半紙」について、その名の由来が語られていた。ボクの世代はまさしく「わら」で作った「半紙」を使っていたので、違和感はなかったが、今の人たちには不思議なものだろう。
 といったところで、ボクが学生時代に受けた屈辱感はぬぐえない。ボクは山梨県の大学に出ていたのだが、そこで「B紙」と言って笑われた。
 「えっ? なにそれ!」「B紙だって(笑)」というトモダチ。「それって、模造紙のことじゃない?」
 さよう。模造紙は共通語らしい。しかしだね、B5だのB4だのと言われている紙のそもそもの基準サイズは、Bの原版、すなわちBの全紙なのだ。これを岐阜県ではB紙と呼んでいる。こういうところに誇りを感じて何がおかしい。説明するボクになおも追い打ちをかける同期生たち。
 「いやいや、方言を自慢されても」
 「岐阜では通じても、ここは山梨じゃんねえ」
 「ほうさよ。ここは関東ずら」
 目くそ鼻くそを笑うという言葉が頭をよぎったのを覚えている。

 

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