「しゃもじ」
「しゃもじ」って変な言葉だ。「もじ」だって。この間、「杓子」について書きながら、ひょっして「しゃくし」の「しゃ」に「文字」をつけたものかと思ったのだが、これが実は正解らしい。
同じような形の言葉で、ボクの知っているのは、次のようなものだ。
- お目もじさせていただきまして、たいへん光栄でございます。
- わたくし、あの方にほの字ですの。
- かもじが落ちましたよ。
上から順に、「お目にかかる」「ほれている」「つけ髪(ウィッグ)」という意味で、要するに、はっきり言えない恥ずかしさを表した言葉なのだ。
で、恥ずかしくて全部は言えないので、最初の一〜二文字だけ引き出してごまかしているということだ。 「○○もじ」という形の言葉は、「文字詞(もじことば)」というらしい。
そこまでは分かったのだが、一つ分からないのは、「しゃもじ」という言葉にどんな恥じらいがあるのかということだ。「杓子」というと恥ずかしいので、それじゃあ「しゃもじ」と言っておこう、だなんて、ぴんとこない。でも、たぶん恥ずかしいと思ったんだろうなあ。
昔の人の感覚には理解できないこともあるのだ。
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