「生まれる」
「生まれる」という言葉。これは自動詞だろうか、それとも「生む」に受身の助動詞がついたものだろうか。そんなことをある先生と話し合った。
母の胎内から生まれるという場合、「生む」という行為の受動であるということは分からない話ではない。英語では、「I was born.」と言うのだし。「生む」人がいるから自分は「生まれる」のだ。
ところが、ボクたちの言葉遣いとしてはどうだろう。「いい考えが生まれた」というとき、これは「生じた」という意味だ。いや、もともと、「ボクは二月五日に生まれた」と言ったって、受け身だと考えている人の方が少ないのではないか。受動で考えると、とたんに意味合いが重くなる。
長い間お腹の中に抱えて育ててきた命を、それこそものすごい苦労をして、痛みに耐えて、絞るようにして「生んだ」という事実に対して存在している「自分」。そう考えると、そこに存在していること自体が重大だ。
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