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むかし、むかし、丹後の国 水の江の浦に、浦島太郎というりょうしがありました。 浦島太郎は、毎日つりざおをかついでは海へ出かけ、 おさかなをつって、おとうさんおかあさんをやしなっていました。 ある日、浦島は海から帰る途中、 子どもが五、六人往来にあつまっていました。 何かとおもって浦島がのぞいてみると、小さいかめの子を一ぴきつかまえて、 いじめているのです。 浦島は見かねて、とめましたが、子どもたちはきき入れようともしないで、 またかめの子を、 あおむけにひっくりかえして、足でけったり、砂のなかにうずめたりしました。 浦島はますますかわいそうにおもって、 「じゃあ、おじさんがおあしをあげるから、そのかめの子を売っておくれ」 といいますと、こどもたちは、 「うんうん、おあしをくれるならやってもいい」 といって、手を出しました。 子どもたちは、 「おじさん、ありがとう。また買っておくれよ」 と、わいわいいいながら、行ってしまいました。 そのあとで浦島は、こうらからそっと出したかめの首をやさしくなでてやって、 わざわざ、かめを海ばたまで持って行ってはなしてやりました。 かめはさもうれしそうに、 首や手足をうごかして、 やがて、ぶくぶくあわを たてながら、水のなかに ふかくしずんで 行ってしまいました。 |
浦島太郎(簡潔) |