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制作手順|作品集

野菜・果物の立体構成 (絵画/彫刻/デザイン/鑑賞)30時間

制作工程

1. モチーフ(野菜・果物)のスケッチ(1〜2時間)

自然物のもつ美しい形を感じ取り、まず3面を鉛筆でデッサンする。
次に包丁で縦や横に切ってみて、見られる断面図や構造をくわしく観察しデッサンする。

2. モチーフの特徴を生かしながら単純化させ、幾何形体に置き換えることを考えながら自作の構想を練る。

観察して描いたデッサンと基本的な幾何形体(円錐、円柱、三角柱など)を見比べながら、自分のモチーフが、どのように単純化できるか考える。基本的な幾何形体については見取り図や展開図を描くことができるようにしておく。

 ←基本的な幾何形体(円錐、円柱、三角柱、三角錐、六角柱、六角錐、八角柱、八角錐)の展開図と見取り図をスケッチブックに描いてみて、平面の画面に立体を思い浮かべ描けるようにしておく。ここで、応用問題として、立方体の8つの角を切り取ったかたちがどんなものになるかなど、考え描いてみることで、立体の見取り図を描くウォーミングアップをした。

3. 幾何形体を15個以上組み合わせて(唯一の条件)ひとつの作品となるよう、構想を深める。

単純化させた幾何形体をバラバラにしていったとき、いったいどんなパーツの組み合わせになるかを考える。そのときモチーフの断面スケッチを見ながら、どこで割れるようにすると効果的かといったこともいっしょに考える。

4. 組み合わせた幾何形体の展開図を考える。

試作品を作りながら、組み立てが可能かどうか確認し、展開図を考える。

5. 方眼ケント紙に展開図を描く。

試作品で見通しが立ったら展開図を描き、カッターで裁断、糊付けし、どんどんパーツを作っていき、組み立てる。

6. 着彩して完成とする。

モチーフの味覚、触覚もイメージしながらポスターカラーで着彩する。


完成作品

 

講評会

全員の作品を教室の机に並べ、一人一人自分の作品を紹介する。他生徒の作品で良かったと思うものも講評プリントに書き留めておいて、お互い交流する。


3.他教科で得た知識を活用する題材

この題材で作品づくりをする中で、一番頭を使うところは、やはり自作の構想を練っていく過程である。
はじめのスケッチでモチーフをデッサンする時に、視覚だけではなく、感触や大きさを手で感じることも大事であるし、包丁で切ったときに見られる構造、匂い、デッサンし終わって、そのまま食べられるものについては味わってみることも、着彩するときのリアルな記憶として生きてくる。
そしていざ立体にしようとする段階ではやはり、平面のスケッチブックに立体的な見取り図を描くところが一つの山場になってくる。

 生徒たちの発想はとても豊かである。
りんごの皮を螺旋状にむける構造を考えたり、ピーマンやカボチャなど中身が空洞になっている構造をいかにリアルに再現できるか工夫を凝らしたり・・・。
そして次の山場は、紙面上で出来上がった見取り図の寸法を導き出すところである。
ちょうどその時、彼らは数学で三角比を勉強している頃でもあり、角度が決まっている場合の辺の長さを求めたい時に、習いたての公式を使って計算でどんどん寸法を導き出していて、彼らの頭の柔らかさとフットワークの良さには驚かされるばかりだった。

 しかし、もちろん全員が順調に進んでいくわけではない。教師側のできることとしては、どこでつまずいているのか一人一人の制作状況を把握して、アイデアを実現させる為に一緒に考えていくことである。それは大変なことのようであるが、一番刺激的で楽しい部分でもあり、時には一緒に数学の先生にアドバイスを求めることもたびたびあった。
立体物なので、見えないけれどそこに必ず答えがあり、根気よく求めていくといつか絶対に見つかる!というサイクルがまるで宝探しのような楽しみに変わっていく。

 授業で「先生、ここどうやってもつながらない。」
と質問され、私も自分なりに方法を考えていると、次の時間、
「あの部分解ったよ。違う角度から見取り図描いてみたら、簡単にでた。」
とだんだん頼もしくなっていく彼らと、信頼関係も少しずつ築かれていったような気がします。

 個人的な見解だが、学校は知識のパラダイスだと思う。それぞれの教科に専門の教師がいて、疑問に思ったことや、どうしても解けない問題などをその場で質問することができる。そうして培った思考力はいずれ実社会において、なにかオリジナルな発想をしたときそれを実現する上で大変重要な力となってくることだと思われる。

 完成した作品はさることながら、作っていく過程で、生徒一人一人の個性やがんばりが発揮される授業になったのではないか思う。

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