アウグストゥスは、主要な軍事力はすべて帝国の辺境に配置し、外敵の侵入に備えるとともに、これ以上の領土拡張戦争を戒めた。
 これにより約200年の間の時代は「パクス=ロマーナ(ローマの平和)」と呼ばれ、空前の繁栄と平和が続いた。特に、ネルヴァから始まる五賢帝(ネルヴァ・トラヤヌス・ハドリアヌス・アントニヌス=ピウス・マルクス=アウレリウス=アントニヌス)の時代は、ローマ帝国の最盛期とされ、トラヤヌスの時にその領土は最大になった。
 帝国の領域にはローマ風の都市が道路や水道などのインフラとともに建設され、都市文化が浸透した。ロンドン・パリ・ウィーンなどはローマによる植民都市を起源に持つ都市である。また、ローマ市民権の所有者も拡大し、商業活動も繁栄を極めた。