【トレーニングプログラムの作成】

(1)トレーニング効果をあげるための基本原則
 運動をすると、体力が高まります。ただし、それは運動がその人の体に適切な刺激として働いた場合です。 そこに、「オーバーロードの原則」と「特異性の原則」というトレーニングの原則が関係しています。したがって、トレーニング効果を得るためには、各人の体力やねらいに応じて、適切な運動をおこなわなければなりません。
 各人のトレーニングの目的、体力水準、健康状態、日常の生活環境などを検討した上で、適切な運動種目を選択し、 その運動の強度、時間、頻度を決めることを「運動処方」あるいは「トレーニング処方」といいます。トレーニングプログラムの作成とその実施にあたっては、「トレーニングの5原則」を守必要性があります。
意識性: トレーニングの意義をよく理解し、目的をもって積極的におこなう。
全面性: 心身の機能が調和を保って全面的に高められるようにする。
個別性: 個人差をよく理解し、個人の特徴に応じたトレーニングをおこなう。
反復性: 運動はくり返しておこなうことによって効果があらわれる。
漸進性: 体力の向上とともに、しだいに運動の強さ、量や頻度を高める。

(2)トレーニング効果の確認と修正のしかた
 安全で効果的なトレーニングをおこなうには、次ぎのような手順で計画的にすすめることが必要です。

1.健康状態を確認する
 医師の診断を受けて、まず、体が健康な状態にあるか、さらに、運動をおこなうことができる状態にあるかを確かめます。 このように、医師による健康診断(メディカルチェック)を受けることがたいせつです。 とくに、持久走のように、呼吸・循環器系に大きな負担のかかる運動をおこなう場合には、注意が必要です。
2.体力を知る
 個人の体力に応じた運動内容を決めるために、体力テストによって、自分の体力水準を明らかにします。 体力テストの内容は、トレーニングの目的やトレーニングをおこなおうとする人の体力水準に応じて決めることがたいせつです。
3.トレーニングの目的を明確にする
トレーニングの目的が、健康の保持増進か、競技力の向上か、筋力を高めるためか、持久力を高めるためか、 あるいは体力を全面的に高めるのかなど、トレーニングの目的を明らかにします。
4.運動の種類を決める
 トレーニングの目的に応じて、運動の種類を選びます。
5.運動の具体的な実践方法を決める
 おこなう運動の強さ(運動強度)、1回の運動をおこなう時間(運動時間)、1週間に運動する回数(運動頻度)を決めます。
6.トレーニングを実践する
 トレーニングの原則にしたがって、一定の期間(6〜8週間)は、同一内容の運動を続けます。その間に、運動が強すぎたり、あるいは軽すぎたりしたら、内容を見直す必要があります。また、体に異常を感じた場合には、 ただちに医師の診察を受けるようにします。
  トレーニングの効果があらわれて、体力が高まると、最初に設定した運動負荷が不十分なものとなります。 その場合には、オーバーロードの原則にしたがって、運動負荷を新たに設定します。トレーニングの効果を確かめるためにも、 健康診断や体力テストを定期的におこなっていくことが必要です。
  トレーニングは正しい手順でおこなうことがたいせつです。すすめかたが間違っていれば、効果がないばかりか、 体に障害を起こすことにもなりかねません。