岐阜市をはじめとする長良川の中流域にはわき水を湛えた池や小川がたくさんあり,子どもたちの格好の遊び場となっていました。開発が進んだ今日では,小川はコンクリートの水路に姿を変えてしまい,開発から逃れた自然を探すことは難しくなってしまいました。 しかし,今でもわずかに残されたところでは,昔同様,様々な生き物を見ることができます。 金華山の東に位置する達目洞では,5月になるヒメコウホネが黄色い可憐な花を咲かせます。
 ヒメコウホネはスイレン科の植物で環境庁から危急種に指定され,県内でも達目洞を含めて4カ所にしか自生していない貴重な植物です。 小川にはトンボが飛び交い,かつてはどこにでもあった小川の風景がここには残されています。
 同じように,農業用のため池とそこから流れ出る水路は,魚たちの宝庫です。岐阜市の北部にある於母ヶ池はそのようなため池の一つで,池とその周りの水路には,いまでもタナゴなど様々な魚たちが生きています。池にはカワセミをはじめとした鳥たちや,トンボや蝉といった昆虫も多く生息していますが,この池にもブラックバスなどの外来魚が放流され,フナなどの在来魚の減少が心配されます。
 残された自然の中で生きているこれらの生き物は,わずかな水温の変化や環境の変化によって絶滅してしまいます。その意味でも,これらの生き物は環境保全の重要な指標といえます

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