長良川流域には古くから多くの人々が生活し,長良川と何らかの関わりを持ちながら生活を営んできました。その生活の中から長良川や水にまつわる様々な昔ばなしが生まれ,今日まで伝えられてきました。
昔話と同じようなものとして,伝説や民話,言い伝えなどがあり,一般的には区別して使われているわけではありませんが,伝説が事実の伝承という側面を有するのに対して,昔はなしは娯楽的な要素が内容の信憑性より優先します。どちらも,地域の人々にとって,自分たちの地域や先祖と自分たちを結ぶ重要な絆として語り継がれたものであるといえます。そのため,テーマは多岐にわたりますが,「地名などのいわれ話」「洪水との戦い」「人の生き方」「暮らし方」「神仏の加護」「男女のこと」「異質な人(力持ちや泥棒)」など,地域の生活に密着した中に求められることが多いようです。
なかでも,岐阜市雄総に伝わる「久官やぶ」や羽島市の「ヤロカの大出水」など洪水との闘いをテーマにした昔ばなしが流域各地に残り,このことからもこの地が古くから洪水被害に悩まされていたことが偲ばれます。
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