総高26.3センチメートル。左右対称で肩布を乗せ膝上で宝珠を持つ威厳に満ちた像です。寛文5年頃,北海道へ旅立つ前の作と推定されています。円空仏はおしなべて,人を慈しむようなほほえみをたたえているのが通例です。しかし,この荒神像の彫りの深い,するどいまなざしと,きりっと結んだ口元からは,他の円空仏に見られない厳しさと,近づき難い表情がうかがわれます。荒神は非理非道を罰したり,教えの法や伽藍を守る神で竈の神としても知られています。