4.美術と黄金比について


黄金比を持つ長方形は,最も均斉のとれた美しい長方形とされ,歴史的に古くから研究されてきました。皆さんはこの長方形を見ていると, どうして美しいと感ずるのか,考えがまとまりましたか。古今東西の芸術家は,意識的に,あるいは無意識的に,作品の中にその比率を織り込みました。


「ギリシャのパルテノン神殿」(写真は使用許諾済)
この建物の縦横の比が黄金比に近いと言われています。

「ミロのビーナス」
この彫刻の身体の様々な部分に黄金比が見られ、
理想的な均斉美を持っていると言われています。

「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」
この絵には、螺旋の大胆な構図が見られます。


これらの作品にも黄金比が隠されています。

さて次に、黄金比を美しいと感ずる理由について考えてみましょう。
人間は自然を見たとき,それを美しいと感じます。そして自然の中にある均斉美に憧憬の念を禁じ得ません。 自然の中にはたくさんの黄金比が存在しています。芸術作品の中にそれらを見出すとき,人工物である芸術の印象と自然の造形の印象が等価である,という安堵感が美しいと感ずる所以なのではないでしょうか。アリストテレスの「芸術は自然を模倣する」という言葉や,セネカの「あらゆる芸術は自然の似絵である」という言葉は有名ですが,これらはそのような意味のことを言っているのではないでしょうか。

さて最後に,黄金比を持つ長方形による極めつけの芸術(?)をお目にかけましょう。この作品はすべて黄金比を持つ長方形で埋められています。その大きさはでたらめのように 見えますが,実はあの円周率(3.141592・・・)の各桁の数字で拡大縮小してあります。緑色の濃さもその値に合わせて濃淡が異なります。






この作品の芸術的評価は皆さんにお任せしますが,何とも不思議な模様になりました。このように並べてみて初めてわかったのですが,2が縦に連続的に並ぶ部分がありますが, 偶然の為せる技です。

以上,黄金比と美的センスについての様々な関わり合いを見てきましたが,最後に黄金比の数字としての美しさを紹介します。



この様に,黄金比は最も単純な形をした自己相似形表現ができる数である,という意味で最も美しい数です。


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