《混乱 @》
「1111」のように「1」が何回も続いた後、次に「1」が出る確率はやはり1/6であり、「1」以外の数字が出る確率が高くなるような気がするのは錯覚です。


このような混乱は、人間の感覚の中で、既に起こった出来事とこれから起ころうとしている出来事を明確に区別して捉えていないことや、それらの出来事を表現する言葉の言い回しの不明確さに起因しています。
確かに、「1111」のように1が4回続けて出る確率は1/1296なので珍しいことであり、さらに、「11111」のように5回続くことは1/7776とさらに小さくなります。これらの確率は、さいことを5回振るとき、「11111」〜「66666」までのあらゆる出方に中で、「1111」と「11111」の出る確率のことです。すなわち、これらの出来事が全体の中でどの程度珍しいかの度合いを示したものです。
しかし、この《混乱@》の場合は、既に「1111」という珍しい出来事が起こった後で、次に「1」が出る度合い(確率)を議論しているのであり、それは1/6である、ということになります。全体の中での議論ではなく、「1111」が出た後で、さらに次に「1」が出る確率を議論しているわけです。

このように、議論している状況を明確にしないと混乱が生じます。

さて、これに似た混乱として、次の議論はどのように解決しますか。

心配性の乗客が飛行機に爆弾を持ち込もうとしたところ、乗務員にとがめられた。

 【その時の問答】

  • 乗務員「爆弾を持ち込むことはできません。」
  • 乗 客「この爆弾を持ち込めば、この飛行機は、より安全になります。どうぞ持ち込ませてください。」
  • 乗務員「そんなバカな?!」
  • 乗 客「なぜなら、私がこれを持ち込めば、別の誰かが爆弾を持ち込む可能性は低くなるはずだからです。
    というのは、同時に2人が同じ飛行機に爆弾を持ち込む可能性は、1人が爆弾を持ち込む可能性より低いはずですから、私が持ち込めば別の人が持ち込む可能性は低くなります。私は爆弾を爆発させるつもりはありません。ですから、この飛行機は、より安全です。」