つち・いわ
恐竜時代のプランクトン
多治見にある石の中から、恐竜時代のプランクトンの化石が見つかりました。放散虫と呼ばれるプランクトンで、今から約2億年前の海にすんでいました。とてもかたいカラをもっているので、そのカラが化石となって残りました。放散虫の直径は約0.1mm。とても小さいので、電子顕微鏡を使わないとその形がよくわかりません。放散虫にはいろいろな形のものがあり、細かく分けられて名前がつけられています。
放散虫を見る方法
@チャートという岩石があるがけを探し、チャートをひとかけら採集する。
Aチャートを親指の先くらいの大きさに割り、薬品(5%フッ酸)に24時間程度つける。この薬品はガラスを溶かすはたらきがある。薬品の蒸気が人体に有害なため、ドラフトという装置の中で実験する。
Bビーカーの底にたまった砂粒をふるい分けして取り出し、その中から、放散虫を見つけだして、電子顕微鏡のステージにのせて観察する。
チャートはどんな石
チャートは、海にすんでいた放散虫の死がいが、水深4000m以上というような深い海のそこにたまってできた岩石です。虎渓山永保寺や多度神社のチャートに入っている放散虫の化石を調べると、その放散虫は、中生代のジュラ紀と呼ばれる時代に、赤道近くの暖かい海にいたプランクトンであることがわかりました。
中生代は、地上では恐竜、海の中ではアンモナイトが栄えた時代として有名です。どちらも今は絶滅して地球上にはいない生物です。恐竜やアンモナイトが栄えていた時代に、南の海にいた放散虫が死んで海底にたまり、海洋プレートの移動とともに何千万年もかけてアジア大陸の近くまでやってきました。やがて、チャートはプレートが海溝に沈み込もうとする力によって、まわりの泥や砂といっしょに陸地に押しつけられて陸地の一部となったと考えられています。
チャートと私たちの生活
チャートの成分を化学的に調べると、ガラスや水晶と同じ二酸化ケイ素という物質からできています。だから、チャートはガラスのようにとてもかたく、割れ口が鋭くなります。
こうしたチャートの性質を利用して、昔の人はチャートをやじりなどの石器として利用したり、火打ち石として利用したりしてきました。昔の人は、チャートがプランクトンからできているということは知りませんでしたが、チャートの性質をうまく利用して生活に生かしていたのです。