衣の部屋

 この村の子供たちが着ていた衣類というと、明治・大正にかけては、着物を着用し、昭和に入ると、この村でも洋服が普及するようになり、男子は木綿(もめん)の学生服、女子は、セーラー服にスカート、といったような活動的な服装に変わりました。

 写真は、上から男子の着物(正装)・女子の普段着(ふだんぎ)・わらぞうり・ゴム靴です。

 男子の着物は、木綿の絣(かすり)の袷(あわせ)に羽織を着ています。これは、よそ行きの時や、学校の祝日の時に着ました。

 女子の着物は、木綿の地織り(じおり)縞(しま)の袷、綿入れの袖無し(そでなし)に前掛けを着けていました。前掛けは女性の身だしなみでした。

 履物(はきもの)は、大正末から昭和にかけて、わらぞうりからゴム靴へと変わっていきました。

 現代のように、物が溢れて(あふれて)いる時代ではないので、なかなか新しい服を、買ってもらうということはありませんでした。子供たちは、親戚(しんせき)や兄姉のお下がりを着たり、やぶれたりほつれたりすれば、それを直しながら大切に着ていました。

 そういう衣類を見る時、昔の人たちは、ほんとうに物を大切にしたのだということが、よくわかると思います。