限りなく続く現象を正しく認識することは大変難しいことです。このことについて人間は その歴史の中で随分悩んできました。 その悩みを引き起こした最も有名な話が,紀元前にゼノンが提唱した逆説でしょう。

『ゼノンの逆説』より
  1. 「アキレスは永遠に亀を追い越せない。」

    アキレスと亀が競走をする。亀は遅いのでアキレスの前方から出発する。
    アキレスが亀の出発地点まで行く間に,亀は少し前へ出ている。前へ出た 亀の位置まで行く間に,亀はさらに少し前へ出る。・・・・・・
    この状況はいつ<まで経っても変わらない。従って,アキレスは永遠に亀を追い越せない。

  2. 「飛んでいる矢は止まっている。」

    なぜなら,時間の一瞬には,矢は位置を変えない。
    時間が一瞬の集まりなら,どの一瞬にも静止している矢は,その時間全体においても静止しているからである。
    従って,飛んでいる矢は止まっている。

これらゼノンの逆説(パラドックス)は明らかにおかしいですが,どこがおかしいのかを明確に 答えられるようになったのは,何と18世紀ごろになって微分積分学が芽生え始めてからであり、人類はなんと千数百年間も悩み続けたのです。

さて,この逆説の中にあるように,「永遠に」とか「瞬間」といった概念を正しく理解するには,極限の概念をはっきりさせなければなりません。そこで,ここでは極限や無限についてのいくつかの話題を展示しました。 ごゆっくりご鑑賞下さい。


【極限のいろいろ】 目次

1. アキレスは亀を追い越せるか

2. 弾むボールは永久に止まらない?

3. 無限のようで有限,有限のようで無限なもの

4. 瞬間には動いているのか静止しているのか

5. 「微分する」「積分する」とはどういうことか

6. 面積・体積の算出に見る「瞬間を捉える」というアイデアの凄さ
「面積・体積の・・・」より



教員への専門的技術情報

【アニメーションの作成について】
方法1
《セル画》・・・・・・・・Mathematicaにより作成した。
《アニメーション化》・・・上記のセル画を、フリーソフトによりgifアニメ化した。
方法2
Flash によるアニメーション化