風・竜巻（たつまき）

「風が起こりやすい地形」というのは「局地的（きょくちてき）に風が強まる地形」ということでしょうか？

でしたら次のような地形が考えられます。図の赤い矢印（やじるし）が風が最（もっと）も強まるところです。（この地図はモデルです）

ひとつは「だし風」で図のような谷あいに風が集まって、その吹（ふ）き出し口で最（もっと）も風が強まります。ちょうどホースの口を狭（せば）めると、水が勢（いきお）いよく吹（ふ）き出るのと同じ原理です。

もうひとつは「おろし風」で、屏風（びょうぶ）のように連（つら）なった山脈（さんみゃく）の風下側（がわ）で起こります。特（とく）に山脈（さんみゃく）の鞍部（あんぶ）（やや低（ひく）くなっているところ）の風下側（がわ）は風が強くなります。理由は風が山を越（こ）えるとき、摩擦（まさつ）を受けて地面側（がわ）へ曲げられるからです。鞍部（あんぶ）で特（とく）に風が強まるのは「だし風」と同じ理由です。

これらの風は「局地風（きょくちふう）」と呼（よ）ばれます。

風力階級については、気象庁ホームページ＞知識・解説＞天気予報等で用いる用語＞風のページで用語「風力」を参照（さんしょう）ください。

また、風の強さと吹（ふ）き方については、同じく、天気予報等で用いる用語＞風の強さと吹き方を参照（さんしょう）ください。

最大（さいだい）10分間平均（へいきん）風速では、
山地・富士山（ふじさん）1942年４月５日　西南西７２．５メートル／秒
平地・室戸岬（むろとみさき）1965年９月10日　西南西６９．８メートル／秒

最大瞬間（さいだいしゅんかん）風速では、
山地・富士山（ふじさん）1966年９月25日　南南西９１．０メートル／秒
平地・宮古島（みやこじま）1966年９月５日　北東　８５．３メートル／秒
となっています。
※2020年12月時点

偏西風（へんせいふう）とは、地球の回りを西から東へ向かって吹（ふ）いている風のことです。地上ではなく、上空で観測（かんそく）されます。

地球の北極（きょく）・南極（きょく）に近づくほど寒く、赤道付近（ふきん）に近づくほどあたたかいという「温度差（さ）」と、地球が自転している、という２つの原因で、偏西風（へんせいふう）が吹（ふ）きます。

偏西風（へんせいふう）は、南北の温度差（さ）が大きく、自転の効果（こうか）も大きい中緯度（いど）地帯（ちたい）（北極（きょく）・南極（きょく）や赤道付近（ふきん）以外の地域（ちいき））でよく見られます。

偏東風（へんとうふう）は逆（ぎゃく）に、地球の回りを東から西へ向かって吹（ふ）いている風のことです。

地球が自転しているために起こります。

偏東風（へんとうふう）は、南北の温度差（さ）はあまり無（な）いが、自転の効果（こうか）が大きい赤道付近（ふきん）でよく見られます。この偏東風（へんとうふう）を「貿易風（ぼうえきふう）」ともよびます。

北極（きょく）や南極（きょく）の回りにも、弱い偏東風（へんとうふう）が吹（ふ）いています。

強風注意報は、岐阜地方気象台（きしょうだい）では風速１２メートル以上（いじょう）の風が吹（ふ）くと予想された場合に発表します。

また、暴風（ぼうふう）警報（けいほう）は、風速１７メートル以上（いじょう）の風が吹（ふ）くと予想された場合に発表します。

これらの風に、雪が伴（ともな）うことが予想される場合は、それぞれ風雪（ふうせつ）注意報、暴風雪（ぼうふうせつ）警報（けいほう）として発表します。

波浪（はろう）注意報・警報（けいほう）は、岐阜県に海が無（な）いので、発表することはありません。

岐阜県のその他の注意報、警報（けいほう）の発表基準（きじゅん）についてはお天気情報＞警報・注意報を見てみよう＞e-予報官からのアドバイスをご覧（らん）下さい。

なお、他の都道府県の発表基準（きじゅん）は、これとは異（こと）なります。

なぜなら、同じ風速でも、都道府県によって災害（さいがい）の発生状況（じょうきょう）が異（こと）なるなどの違（ちが）いがあるために、発表する基準（きじゅん）を調整しているためです。

他の都道府県の発表基準（きじゅん）については、お近くの気象台（きしょうだい）にお問い合わせ下さい。

風が吹（ふ）いてきて、山にぶつかると、風は山の斜面（しゃめん）にそって、山を登（のぼ）り、また斜面（しゃめん）にそって山を下り、さらに山の向こうへと進んでいきます。

このとき、山のこちらがわとむこうがわで、気温が大きく違（ちが）うことがあります。ここでは、「フェーン現象（げんしょう）」が起きていると考えられます。

次の図を見てください。

風は左から右に向かって吹（ふ）いています。このとき、風の吹（ふ）いてきたほう（風上がわ）の気温は、２５℃です。この風が、高さ２０００ｍの山を越（こ）えるとき、気温は、１００ｍあたり０．６℃下がります。

ですから、この２０００ｍの山の頂上（ちょうじょう）では、風上がわの平地よりも１２℃もすずしい、１３℃になります。

さて、このように、空気の気温が下がるとき、ある変化（へんか）が起こります。

どんな空気も、水蒸気（すいじょうき）をふくんでいますが、この空気が冷（ひ）やされると、ある程度（ていど）の水蒸気（すいじょうき）は、水になってしまうことがあります。小さな水のつぶができ、空気中をただよいます。

これが、「きり」や、「雲」なのです。山の斜面（しゃめん）では、このようにしてできた雲から、雨がふります。

山の頂上（ちょうじょう）まできた風は、こんどは山の斜面（しゃめん）にそって、山を下りていきます。ところが、こんどは１００ｍあたり１℃の割合（わりあい）で、気温が上がります。

ですから、山の頂上（ちょうじょう）で１３℃だった気温は、２０℃も暑くなり、風下側（がわ）の平地では３３℃にもなってしまうのです。

風上側（がわ）と風下側（がわ）で、気温が上下する割合（わりあい）がどうしてこんなにちがうのでしょう。

風上側（がわ）では、空気が山をのぼるにつれて、空気中の水蒸気（すいじょうき）が冷（ひ）えて水になり、きりや雲を作ります。雲からは雨がふって地面に落ちてしまうので、頂上（ちょうじょう）までやってきた空気には、あまり水分がふくまれていません。

つまり、風上側（がわ）と風下側（がわ）では、空気のしめり具合（湿度（しつど））がちがうのです。この、湿度（しつど）のちがいにより、空気が山を登（のぼ）り下りするとき、気温の上下する割合（わりあい）がちがってしまうのです。

フェーン現象（げんしょう）がよく見られるのは、初夏（しょか）（５月）ごろ～秋にかけての、北陸（ほくりく）地方などです。

全国的（てき）に南風が強いときに、北アルプスなどの高い山に南風がぶつかります。すると、風上側（がわ）である太平洋側（がわ）（東海地方など）の気温よりも、風下側（がわ）である日本海側（がわ）（北陸（ほくりく）地方など）の気温がずっと高くなります。

北陸（ほくりく）では、５月に３０℃を超（こ）す真夏日を観測（かんそく）することもあるのです。

「○よりの風」という時の「より」は、「寄（よ）り」という意味で使っています。

これは、「○風」という場合よりも、幅（はば）をもたせた範囲（はんい）を示（しめ）しています。

例（たと）えば、西よりの風といえば、西風だけでなく、南西、北西の風も含（ふく）んでいると考えてください。

春は、日本海を発達（はったつ）しながら移動（いどう）していく低気圧（ていきあつ）の数が多く、風の強い季節（きせつ）です。

風が強いと、それだけでも、人が感じる温度（体感温度）は低（ひく）くなります。

また、低気圧（ていきあつ）にともなう寒冷（かんれい）前線が通過（つうか）すると、南よりだった風が、急に北よりに変（か）わって気温が下がります。

このため、それまで暖（あたた）かい日が続（つづ）いていたりすると、余計（よけい）に冷（つめ）たく感じるのかもしれません。

季節（きせつ）ごとにふく代表的（てき）な風を季節風（きせつふう）といいます。日本では、夏の南西風、冬の北西風があります。

では、どうして、この方向に風がふくのでしょうか？

夏は、強い太陽のひざしによって、ユーラシア大陸（たいりく）が暖（あたた）められます。暖（あたた）かい空気は、冷（つめ）たい空気よりも軽いので、上昇（じょうしょう）していきます。

すると、太平洋側（がわ）の空気が、ユーラシア大陸（たいりく）の方へ流れてこんでいくため、南西の風がふくようになるのです。

反対（はんたい）に、冬は、ユーラシア大陸（たいりく）側（がわ）が冷（つめ）たいので、太平洋側（がわ）に向かって空気が流れていき、北西の風がふきます。

（世界地図を見ながら考えてもらうとわかりやすいかもしれません。）

残念（ざんねん）ながら、気象台（きしょうだい）からゆずることはできませんが、だいたいの風向は、風向計がなくても調べることができます。

自分で、かるい布やリボンのはしを持って外へ出て、どっちの向きになびくかを、方位（ほうい）磁石（じしゃく）で調べるのが、一番かんたんかもしれません。

原始的（てき）な方法ですが、手軽でわかりやすいのでよく使われている方法なんです。風のめやすとなるように、高速道路やジェットコースターのコースわきに、ふき流しや旗（はた）があるのを見たことはありませんか？

また、近くにけむりの出ているえんとつがあれば、そのけむりの流れる向きを調べたり木のゆれ方を見たりすることでも、だいたいの風向きがわかります。

風向きのよび方は、北から南にむかって風がふいていたら「北風」というように、ふいて来る方向でよんでいます。

風は、下の図のように、天気記号に向かって吹（ふ）いています。北から南へ吹（ふ）いている場合は、「北の風」のように、風の吹（ふ）いてくる方向でよびます。

不都合（ふつごう）があるのかどうかは分かりませんが、普段（ふだん）は、風の変化（へんか）を見るのに１０分くらいがちょうど良（よ）いので、そう決められているものと思われます。

ただし、気象台（きしょうだい）の観測（かんそく）は、リアルタイムで行っているので、瞬間（しゅんかん）の風向風速も見ることができ、必要（ひつよう）な時には利用（りよう）しています。

また、飛行機（ひこうき）の安全には、風の情報（じょうほう）が重要（じゅうよう）なので、飛行場（ひこうじょう）では２分間ごとの平均（へいきん）もとっています。

東から南へ向かう風は、方向だけを考えると、北東から南西へ向かう方向と同じですよね？

風は、ふいてくる方向で表すので、この場合は「北東の風」となります。

記録紙（きろくし）だけから、正確（せいかく）な平均（へいきん）風速を求（もと）めるのは、むずかしいのですが、だいたいの値（あたい）は、目分量（めぶんりょう）で読み取ることもできます。

記録紙（きろくし）に書かれた線は、風速にばらつきがあるので上下にジグザグになっていると思います。その、ジグザグしている線の真ん中を通るように線を引いてみてください。

引いた線が、だいたい平均（へいきん）風速となります。この線が、めもりと平行な直線で引けたら、そのめもりを読めば完了（かんりょう）です。

もし、線がななめだったり、上下に波うっていたら、さらにその線の真ん中に線を引いていきます。

この作業を、めもりと平行に線が引けるまで、何回かくりかえしてみてください。

雨量計（うりょうけい）や風向風速計の写真は、岐阜地方気象台の紹介＞気象台にある観測機器のページから見ることができます。

お天気教室で見てもらった雨量計（うりょうけい）の中のしくみなども、写真つきでせつめいしています。また、他の測器（そっき）ものせていますので、参考（さんこう）にしてみてください。

6月～8月ごろ、北海道、東北、関東などで吹（ふ）く北東の風のことを「山背（やませ）」といいます。

この風は、冷（つめ）たい親潮（おやしお）の上を吹（ふ）いてくるので、冷（つめ）たくてしめった風となり、冷害（れいがい）をもたらすことがあります。

特（とく）に、水稲（すいとう）にとっては、穂（ほ）が出たり開花したりする大切な時期なので、やませによって気温の低（ひく）い日が続（つづ）くと、大きな被害（ひがい）が出てしまいます。

昔（むかし）から、「冷害（れいがい）風」とか「餓死（がし）風」とよばれて恐（おそ）れられている風です。

気温が下がると風がなくなるのではなく、風があっては気温があまり下がらないのです。

通常（つうじょう）、空気は地面付近（ふきん）ほど暖（あたた）かく、上空に昇（のぼ）ると冷（つめ）たくなります。一方では、冷（つめ）たい空気は重いため、地面付近（ふきん）に溜（た）まることがあります。

このとき、少し上空より、地面付近（ふきん）のほうが低温（ていおん）になります（接地逆転（せっちぎゃくてん）という）。この冷（つめ）たい空気のかたまりは、風があると吹（ふ）き払（はら）われてしまいます。

そのため、風のない穏（おだ）やかな朝などに、気温が下がりやすいのです。

日本もアメリカも竜巻（たつまき）の起こる過程（かてい）に違（ちが）いはないと思われます。両国とも、どのあたりで起こりやすいかはある程度（ていど）予測（よそく）できますが、発生地点までの予測（よそく）は無理（むり）です。

「ツイスター」はあくまでも映画（えいが）と見てください。それにあの映画（えいが）でも、主人公たちは偶然（ぐうぜん）、竜巻（たつまき）が発生しそうな場所の近くにいたから竜巻（たつまき）にたどり着けた、という演出（えんしゅつ）になっていたと記憶（きおく）しています。

たつまきは、日本でもおきています。とくに1969年12月豊橋、1990年12月千葉県茂原、1999年9月豊橋で起きたものは、アメリカで発生する大規模（だいきぼ）なトルネードに近いものと言われています。

でも、たつまきについては、まだわかっていないことが多いので、ここでは代表的（てき）な説（せつ）を１つしょうかいします。

日本でおきるほとんどのたつまきは、地上近くで風が回転しているところに、上昇（じょうしょう）気流（下から上へむかう風）がかさなった時に、発生すると考えられています。風が回転しながら上へあがるにつれて、回転の半けいが小さくなり、風が強くなって、たつまきとなるのです。

上昇（じょうしょう）気流は、台風や積乱雲（せきらんうん）などとともにあらわれるので、たつまきは、だいたい夏におきています。日本のたつまきは、半分以上（いじょう）が８月から９月ごろ、台風のときに発生していると言われています。

質問の中で、竜巻（たつまき）とモンスーン以外は、すべて熱帯低気圧（ねったいていきあつ）の名前です。なので現象（げんしょう）としては同じものですが、発生した地域（ちいき）や風の強さによって名前が付けられています。

竜巻（たつまき）は、上にあげたような熱帯低気圧（ねったいていきあつ）ではなく、局所的（きょくしょてき）に発生する激（はげ）しい渦巻（うずま）きのことです。

モンスーンは、アラビア語で「季節（きせつ）」を表すmausimからきた言葉で、季節風（きせつふう）を指します。