一緒に考えてみましょう。下のCG(Computer Graphics)の図を見てください。
鏡の中の「鏡文字」 |
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上の図のように、「鏡」という文字は左右逆になり、いわゆる「裏文字」とか「鏡文字」になっています。
この問いは、このように、どうして鏡が左右だけを選択して逆にし、上下を逆にしないのか、どうして鏡が左右と上下の区別をするのか、という疑問を投げかけています。
この問いの正解は、マーチン・ガードナーが言うように、「鏡(鏡像)は左右が逆になっているのではなく、前後が逆になっている」のです。
そのことを明確にするために、座標軸を鏡に映してみましょう。
x軸を鏡に垂直に、y軸とz軸を鏡に平行になるようにして、鏡の前に置きます。
このとき、鏡の中の像は
座標軸とその鏡像 |
![]() 赤=x軸 緑=y軸 青=z軸
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になりますね。
このように、y、z軸は向きが変わらず、x軸が逆に、つまり、鏡の面に対して前後が逆になっています。納得できましたか。
しかし、まだ少し疑念が残っているかもしれません。
それは、では「どうして前後が逆になることを左右が逆になるというの?」あるいは「左右が逆になったように感じるの?」ということではないでしょうか。
このことについては、数学の問題よりも心理的な問題あるいは言葉遣いの問題の領域でしょう。つまり、人間は鏡の中の像を現実の世界へ取り出して(あるいは、人間が鏡の中に入り込んで)、その鏡像と現実像を左右に並べて見比べる傾向が強いようです。そのとき、人間の右手左手の感覚や、平面図形をひっくり返した体験等を連想して、「前後が逆」と言うよりも「左右が逆」と言った方が馴染みやすい、ということでしょう。人間は前後関係よりも左右関係を優先しているようにみえます。これは、人間の目が左右についていることに起因しているのでしょうか、本当のところはよく分かりません。
左右が逆か?、前後が逆か? |
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