雪国の生活 | |
岐阜県の北端に位置する宮川村は、北陸型の気候に属し、年間の降雪累計10mを超す豪雪地帯である。近年、積雪は少なくなったが、一夜にして2m近く積もる場合もあった。 豪雪地帯における冬の生活は、非常に厳しいものである。人々は雪を克服するため、様々な知恵を駆使し、様々な道具を作り出した。 飛騨みやがわ考古民俗館では、国指定有形民俗文化財2,800点をはじめ、様々な積雪期用具を収蔵・展示している。かつては、現在のような既成品は少なく、多くの道具を手で作り出してきた。これらの収蔵資料には、「バンバ」「ズンベ」「カンジキ」「カナカンジキ」「ゲタゾウリ」など雪国特有のものが多く含まれる。 「バンバ」は、木製の除雪用具で、現在のスコップにあたる。道の除雪用、かやぶき屋根の雪下ろし用、坂屋根の雪下ろし用など用途によって様々な形態や大きさがある。道の除雪用のものでは、長さ1m程度であるが、かやぶき屋根用では3mを超すものもみられる。また、60cm程度の小型なものもあるが、これは子供の遊び用具である。 「ズンベ」は、ワラ製のいわゆる雪ぐつ。30cm程度のものから、80cmを超える大きなもの、山の斜面を歩く先の曲がったものなど様々な大きさや形態がある。 「カナカンジキ」は、雪氷上を歩く道具。現在の登山用アイゼンと同様の形態をもつ。鉄板に2本から4本の爪を設けたもので、靴の底に装着して使用した。「ゲタゾウリ」も凍った道を歩く道具であるが、滑りにくくするためゲタの底部にゾウリをつけたもの。 |
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バンバ |
ズンベ |
カンジキ |
カンジキ |
カナカンジキ |
カナカンジキ |
ゲタゾウリ |
バンバ |