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炭焼き
 かつて現金収入の少なかった農家にとって、炭焼きは、農閑期の重要な仕事であった。自家の雑木林の山で木炭を製作し、これを販売して現金を得た。
 焼かれた炭は、樹種や炭の質などによって値段が異なり、ナラの上質なもに最も高値が付けられた。区分された炭は、長さをそろえ、規格ごとに俵につめられた。
 炭の長さをそろえるのに、「ノコギリ」を用いたが、作業効率のよい専用の「スミキリキ」といった規格品もあった。
 俵には、丸型と角型があり、角型のもには、最上の炭がつめられた。俵のフタには、「クチシバ」と呼ばれる小枝を曲げたものが使用された。本来は、手で作ったが、後に専用の「シバマゲキ」が登場した。
 俵につめられた炭は、「かギショイコ」という背負い具によって運搬された。この道具を使用する際、背中に「ネコマ(ネコダ)」をクッションとしてあて、その上に担いだ。また「ニズエ(ネンボ)」と呼ばれる道具を携行した。これは、山を下る時の杖として使われ、さらに背負った荷物と地面の間に立て、休息する時に用いた。
 このような炭の運搬は、“炭ぼっか”と呼ばれる人々によって行なわれた。運搬は、1回に3俵が標準であったが、6俵を運ぶ人もあったといわれている。
 こうした炭焼きは、昭和25年頃まで頻繁に行なわれたが、生活様式の変化に伴って、現在ではほとんど行なわれなくなった。

スミキリキ

クチシバ

シバマゲキ

カギショイコ

ネコマ

ニズエ

スミダワラ(丸)

スミダワラ(角)