1等星レグルスを中心とした近くの明るい星の並びは、数千年も昔からいくつかの民族がライオンの姿を描いてきました。 このライオンは、ギリシャ神話では英雄ヘルクレス(ヘルクレス座)がエウリュステウス王に命ぜられた12の冒険の第1番目になしとげた、ネメアのしし退治のライオンです。神話には次のような話が残っています。 ギリシャのネメアの森には、不死身のライオンが住み、辺りを荒しまわっていました。エウリュステウス王は強くて立派なヘルクレスが何かとじゃまになるので、困難な仕事をやらせて殺してしまおうとし、その手始めにこのライオンを退治してこいと命じました。ヘルクレスはまず、大弓で射てみましたがライオンは平気でした。そこでこん棒をふるってほら穴に追い込み、腕でライオンの首をしめ上げて倒しました。そして、皮をはいで持ち帰ったので、さすがの王もかれを恐れるようになったといいます。
おうし座近くの太陽(春の夕刻)
レグルスには「小さな王」という意味があります。それは、この星がちょうど黄道上で輝くために古くから王の運命を占う重要な星と考えられてきたからです。黄道とは、太陽が見かけ上、空を1年間に一めぐりする道のことです。 地球は1年で太陽の周りを1回転します。しかし、地球が太陽の周りを回っていることは実感できません。反対に太陽が地球の周りを回っているように思えます。秋の夕刻、太陽がしずんだすぐ後、西の空低いところにさそり座が見えます。ということは、太陽はさそり座の近くにいることになります。同じように、春の夕刻、西の空低いところにおうし座が見え、これは太陽がおうし座の近くにいることになります。こうして、太陽は毎日少しずつ星座の間を動いていき、1年でまた元の位置にもどります。