固有運動

 星には見かけの運動ではなく、「固有運動」とよばれる星自体の運動があります。
 固有運動を発見したのは、ハレー彗星で有名なハレーです。かれは、古代ギリシャ時代に観測されたアルクトゥルスの位置が、自分の観測した位置とくらべて、1800年の間に約1度ずれていることを発見しました。(1717年)。1度は月を2個並べて見た大きさにあたります。中にはわずか360年で約1度位置を変える星もあります。もしどの星もこんなに動いたら、1000年、2000年のうちには星座の形もかなり変わってしまうのですが、星の位置のずれを平均すると、これの100分の1ほどという小さなものです。ですから、数万年もたたないと目に見えて星座の形が変わることにはなりません。
 アルクトゥルスは1秒間に約140kmというすさまじい速さで宇宙空間を動いています。太陽は地球と他の惑星を引き連れて秒速約19kmで動いています。全天の星の平均速度は秒速25km前後ですがそれでも星座が考え出されて数千年たった今も、その形はほとんど変わっていません。星がとても遠くで輝いているからです。

現在の北斗七星 5万年後の北斗七星
北斗七星の形の変化

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