望遠鏡 
 月のクレータや惑星などを撮るには望遠鏡を使います。焦点距離が50mmの標準レンズで月を写しても豆粒くらいにしかならず、これをいくら拡大してもフィルムの像は小さな粒子からできていますから、この粒子が大きく見えるだけで、決してクレータは見えてきません。クレータを写すには焦点距離を長くすることが必要で、そのために望遠鏡を使います。カメラの望遠レンズでもいいのですが、さらに拡大するためには望遠鏡がまさります。望遠鏡による撮影方法には、直焦点方式・リレーレンズ方式・コリメート方式があります。望遠鏡は屈折式でも反射式でも同様です。

直焦点方式

 カメラのレンズや望遠鏡の接眼レンズを取り外し、アダプターと呼ばれる接続器具を使って望遠鏡に直接カメラのボディを付けます。望遠鏡を望遠レンズの代わりとして使うのです。月や太陽の全体像や星雲・星団といった比較的広い範囲の撮影に向きます。一眼レフのカメラが必要です。

リレーレンズ方式

 望遠鏡に接眼レンズなどを取り付け、レンズをはずしたカメラのボディを拡大撮影用アダプターを使って接続します。直焦点方式よりも倍率を高くすることができ、接眼レンズによって倍率が変えられるため、月のクレータや惑星を撮影するのに向きます。直焦点方式と同様、一眼レフカメラが必要です。

コリメート方式

 目で望遠鏡をのぞく時と同じように望遠鏡に接眼レンズを付け、その後ろからレンズを付けたカメラで撮影します。ピントの合わせかたは、まずファインダーや小型の双眼鏡のピントを星に合わせ、それを使って望遠鏡をのぞいて望遠鏡のピントを合わせます。そしてカメラの距離を無限大(∞)にして、カメラで望遠鏡をのぞくように撮影すればいいのです。絞りは開放にします。この方法は、カメラと望遠鏡をつなぐアダプターがいらず、レンズを外せないカメラでも撮影できるといった利点がありますが、ピントや光軸(望遠鏡とカメラの中心線)が合わせにくいとか、望遠鏡とカメラが接続されていないために長時間の露出ができないとか、まわりから光が入るという難点もあります。


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