3.ビリヤードは鏡を使って


鏡はその表面で光を反射します。そのとき、鏡は入射角と反射角が同じになる方向に反射する性質を持っていることは、周知のとおりです。この反射という現象は、光に限らず日常的にたくさんあります。例えば音が壁に当たって反射する、ボールが壁に当たって反射するなどがありますが、どれも共通の原理で議論できます。

ここでは、光の反射とボールの反射の現象の一体感(数学の言葉で言うと類比)を味わっていただきましょう。

ビリヤードというゲームがあります。ご存じのとおり、台の上の玉と玉を 直接または枠(クッション)で反射させて当て、穴に落とすゲームです。

さて上のCGで、赤い玉を黄色の玉に当てるには、どの方向を狙いますか。もちろん、台や壁での摩擦、空気の抵抗、ボールの回転などの要素(外乱)は無視して下さい。
直接狙う方向は明らかですね。 では、


  1. 左の壁で反射させて(ワン・クッションさせて )当てる方向は?狙う方向
  2. 向こうの壁で反射させて(ワン・クッションさせて )当てる方向は?狙う方向
  3. ワン・クッションさせて当てる方法は何通りある?
  4. 左と向こうの両方で反射させて(ツー・クッションさせて )当てる方向は?狙う方向
  5. ツー・クッションさせて当てる方法は何通りある?
  6. スリー・クッションさせて当てる方向は?狙う方向
  7. スリー・クッションさせて当てる方法は何通りある?

いかがでしたか。上手く鏡を使えましたか。

現実のビリヤードでは、外乱によるずれが問題となり、それを上手く交わすことが 「技」であり「妙味」です。ここではそれらを無視しました。
無視したついでに、では無限に反射を繰り返えすと、デタラメ方向に狙ってもやがては目的のボールに当たるのでしょうか。実験してみましょう。

ビリヤード・シミュレータ

何度も反射しているうちに、偶然当たることもあるようですが、保証の限りではありません。
このことを数学の問題として捉えると、「任意の方向に放った直線は反射を繰り返すうちに、その長方形内のすべての点を通るか」と言うことができます。興味のある方は挑戦してみてください。


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