おとめ座
金・銀・銅

 大神ゼウスと女神テミスの間に生まれたアストラエア(星の女の意味)は、正義の女神です。はるはるか昔、この世が「金の時代」であったころ、たがやさなくても野には果物が実り、川には乳や酒が流れており、人間は争いを知らず、地上は平和な楽園でした。
 しかし、「銀の時代」になると四季が生まれ、人間たちは汗を流して食べ物を作らなければならなくなりました。それとともに、強いものが弱いものをいじめるようになり、それまで地上にいた神々はあいそをつかして天上に引きあげてしまいました。しかし、アストラエアだけは人間を信じて地上にとどまり、熱心に正義の道を教えました。
 やがて「銅の時代」になると、人間はうそと暴力をつかうようになり、地上はますます乱れていきました。アストラエアはとうとう耐えられなくなり、天上に去って名前の通り星になったのが、おとめ座です。

星の名

スピカ(Spica)のSpicには「とげとげしたもの」という意味があり、くつのスパイクも同じ語源です。

名前のある星

 おとめ座の1等星スピカ。これはラテン語で穀物などの穂を意味し、女神が手にもった麦の穂先にあたります。
 星には、シリウスとかアンタレス、アルクトゥルス、ポラリス(北極星)などというように、明るい星や方位、季節を知る手がかりに必要な星には名前のついたものがあります。それらは主にギリシャ語やラテン語、アラビア語で、星座の姿や星の見え方などと深いかかわりがあります。麦の穂先に位置し輝いているスピカなどはその良い例です。


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