さそり座
恐ろしい毒虫

 夏の南の空にS字形に並ぶ星たちがさそり座です。サソリは、砂漠に住むくもに近い毒虫で、アジアから中近東、ヨーロッパ南部に多くの種類がいます。長い尾の先に毒針があり、これに刺されると死ぬこともあります。あの巨人オリオンはサソリにさされて死んでしまったという神話があります。
 サソリのいなかった日本では、S字の星の並びをつり針に見立てて「魚つり星」「鯛つり星」などと呼んだ地方がありました。
 さそり座の赤い1等星アンタレスの名には「アレース(火星)に対抗するもの」という意味があり、この星の光が火星の色によく似ていることからきています。日本では「赤星」「酒酔い星」などと呼んだ地方がありました。

銀河系
天の川

 空の暗いところではよく晴れた日、さそり座、いて座のあたりに白い雲のようなうっすらとした輝きを目にすることができます。よく見ると淡い光は、はくちょう座をこえカシオペヤ座まで帯のように続いていることが分かります。これが「天の川」です。
 天の川のことを、昔のどの民族も自分たちの身近なものに見立てています。エジプト人にとって天の川は神がまき散らした小麦であり、エスキモーにとっては雪の帯、ブッシュマンにはたき火の残り灰、ポリネシア人にとっては雲を食べている鮫でした。
 では、この天の川の正体、本当は何なのでしょうか。それを明らかにしたのはガリレオ・ガリレイです。かれは1610年、手製の望遠鏡を天の川に向け、それが無数の星の集合であることを発見しました。


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