おおいぬ座
ドック・スター

 おおいぬ座の1等星シリウスは全天一の明るい星(恒星)です。シリウスには「輝くもの、焼きこがすもの」という意味があります。日本には、「大星」「青星」という呼び名が各地に残っており、中には「三つ星のあとぼし」といって、オリオン座の後からついていくようすを名前にしたところもあります。英語ではずばり「ドッグ・スター(Dog Star)」といい、星一つでおおいぬ座を名乗っています。

近い星

 シリウスは光度マイナス1.5等、標準的な1等星おうし座のアルデバランの8倍、肉眼でようやく見える6等星の900倍の明るさです。その距離は8.6光年で、肉眼で見える星としては2番目に近い星です。1番近い星はケンタウルス座のアルファ星で、その距離はシリウスまでの半分、4.3年しかありません。残念ながらこの星は岐阜からは見えません(沖縄なら地平線すれすれに見えます)。ですから、シリウスは岐阜から見えるもっとも近い星なのです。もちろん太陽を除いての話です。

20光年以内にある明るい星
星名 赤経 赤緯 等級 距離
ケンタウルス座α 14時36.2分 −60 38´ −0.0等  4.3光年
シリウス   6時42.9分 −16 39´ −1.5等  8.6光年
エリダヌス座ε   3時30.3分 − 9 38´   3.7等 10.7光年
はくちょう座61 21時04.7分 +38 30´   4.8等 11.1光年
プロキオン   7時36.7分 +  5 21´   0.4等 11.2光年
インディアンε 21時59.5分 −56 59´   4.7等 11.2光年
くじら座γ   1時41.7分 −16 12´   3.5等 11.4光年
エリダヌス座ο   4時13.2分 − 7 44´   4.4等 15.6光年
アルタイル 19時48.3分 + 8 44´   0.8等 16.1光年
へびつかい座70 18時  2.9分 + 2 31´   4.0等 16.2光年
へびつかい座36 17時12.3分 −26 32´   4.6等 17.3光年
りゅう座σ 19時32.5分 +69 53´   4.7等 18.4光年
カシオペア座η   0時46.1分 +57 33´   3.4等 18.5光年
くじゃく座δ 20時03.8分 −66 19´   3.6等 18.5光年
 このようにシリウスは地球にきわめて近いため実際にはごくふつうの明るさをもった平凡な星であるにもかかわらず、夜空の中で他を圧倒する輝きをもっているのです。
 太陽から地球までの距離は約1億5000万km、光は8分19秒で進みます。その光の速さでシリウスまで行くのに8.6年、仮に時速200kmの新幹線で行くとすとると4600万年もかかります。近い星といっても気が遠くなるほど彼方にあるのです。

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