彗星を写そう 
 ほうき星とも呼ばれる彗星は、長く尾を引いた姿で突然現れるため、昔の人々は不吉な前ぶれと思っていました。魔法使いのおばあさんが乗るほうきも、そんな所から考え出されたようです。彗星の本体は泥まじりの雪玉のようなもので、大きいものは直径が10km以上ありますが、天体の中では小さい部類です。太陽に近づいてくると太陽の熱を受けて本体の物質が蒸発し、まわりに広がり、これが太陽からの光や電子の粒によって流されて尾を作ります。
 彗星の中で一番有名なのは、76年ごとに太陽に近づくハレー彗星でしょう。1986年には新聞などで大きく取り上げられましたが、地球との位置関係が悪くてあまりよく見えませんでした。毎年いくつかの彗星が発見されていますが、尾が肉眼で見られるほど明るい彗星は数年に1回程度で、最近は1976年のウエスト彗星以来現れていません。ところで、新しい彗星には発見した人の名前が早い順に3人までつけられるのですが、新彗星を誰よりも早く発見しようと夜空を捜している人がたくさんいます。コメットハンターと呼ばれるこれらの人たちは、毎晩のようにどこかに彗星がいないかと双眼鏡や望遠鏡をのぞいたり、あるいは写真を写しているのです。もしかすると、皆さんが写した星座写真の中に彗星が偶然写っているかもしれません。後になって写っていることがわかり、貴重な資料になることもありますから、写真のデータはきちんと残しておきましょう。
 彗星の写真は、星座写真と同じように写すか、300mmまでの望遠レンズや焦点距離の短い望遠鏡の直焦点方式でガイド撮影します。彗星の尾はぼんやりして暗いため、F値の小さな明るいレンズが適しています。フィルムは高感度のものを使い、絞りは開放で撮影しましょう。日にちがたつと星座との位置が変わり、尾の長さも変化しますので、同じ撮影器材でずっと追いかけていきたいものです。

ハレー彗星

レビー彗星

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