どうして鵜匠になったのですか。

お父さん、そしておじいさん、又そのおじいさんも代々、世襲制という形でこの長良川の鵜匠をやってきました。ですから私も鵜匠を継ごうと思いました。すなわちこの長良川の鵜飼の歴史は1302年という歴史があります。
ですからずっと続けられてきた、この鵜飼を守り続けなくてはならないということで鵜匠になりました。



一人前の鵜匠になるために、努力したこと、苦労したことはどんなことですか。

最初から鵜匠にはなれません。鵜飼舟の上で父親が鵜匠をしています。その鵜匠のしぐさを見たり、 そしてまた中乗りというところで、櫂とさおを使って、舟を動かす、あるいは鵜飼にたずさわるいろんな事を覚えるということで 修行をしてきました。
しかし、実際に鵜匠になれば、頭で覚えたことだけではうまくいかず、体が思うように動きません。
例えば鵜の縄、「手縄(たなわ)」といいますけど、この「手縄」をさばくこと、あるいは鵜の首にゆわえる、 結わえ加減、いろんなことが実際にやってみないと分からない。鵜の固体固体の健康状態も違います。 性格も違う。そういうこともいろいろとふまえて、鵜匠になれる。ですからこれからもずっと鵜匠としては死ぬまで修行だと思っています。



鵜匠としての生き甲斐、誇りに思うことはどんなことですか。

長い歴史を誇っているこの長良川の鵜飼を鵜匠として守っていくという、これが一つの誇りでありますし、また、この伝統をお客さん方に見ていただく、そしてお客さんから「良かったな」という声を聞くと大変嬉しく感じます。
また、鵜が一生懸命鮎を追いかけてたくさん魚を獲る、これも鵜匠の喜びの一つになります。



これからの鵜飼について、どんな夢や願いをもっていますか。

鵜飼というのは鵜が魚を獲る、原始漁法です。この長良川にこれからもずっと魚がたくさんいて、この鵜飼が守れる、そういう環境にあってほしいなと思います。
また、この伝統ある長良川の鵜飼を皆さん方に見ていただいて、「良かったな」というそういう環境で鵜飼をしたい、また鵜飼を支えてくれる、例えば舟だとか、あるいはいろんな道具を作ってくれる人、こういう人らもやはりこれからもずっと、たくさん育てていただいてそして鵜飼を支えてほしいなと思います。