夕方になるといよいよ本格的な鵜飼の準備が始まります。舟の準備は、もっぱら船頭(とも乗り・中乗り)の仕事です。彼らは川岸と鵜匠さんの家を何度か往復して、道具や松割木(まつわりき)(かがり火の燃料となる松の木を割った物)を運びます。また、彼らは鵜飼漁のかなめともいえるかかり棒の装着に神経を使います。鵜舟舳先(へさき)の「さんつぼ」(かがり棒を入れるあな)には、かがり棒といっしょにムクゲの枝葉(えだは)をさします。その樹液(じゅえき)で棒と穴とのまさつを少なくし、かがりに松割木をくべやすくするためです。
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